春夏秋冬が、なだらかに移り変わっていく日本。好きな季節もあれば、「早く終わってくれ」と思う季節もあるかもしれない。海外では、その変化が日本とまったく異なる国も多い。日本に暮らす外国人は、日本の気候についてどのように感じているのだろうか。日本在住の外国人20人に聞いてみた。
Q: 日本の気候は母国と比べて暮らしやすいですか? 暮らしにくいですか? 具体的に教えてください
暮らしにくいと思う
・「暮らしにくいです。冬は寒すぎて、夏は暑すぎるという極端な気候です。ブラジルはいつも5月の気候です」(ブラジル/20代後半/男性)
・「四季がはっきり分かれていて大変です。服など変えるのが大変です」(インド/40代前半/男性)
・「暮らしにくいと思いますが、四季がありますので対策方法を考えないといけないのは大変勉強になりました」(インドネシア/40代前半/女性)
夏や梅雨がつらい
・「夏の蒸し暑さと梅雨を考えると、フランスより暮らしにくいと思います」(フランス/30代前半/男性)
・「暮らしにくい。夏は暑すぎる」(ロシア/20代中半/女性)
・「夏の湿度が高い時期は少し暮らしにくいですが、それ以外の季節は快適だと思います」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「日本の夏と梅雨のときはつらいですね。モンゴルだったら、冬が寒くて暮らしにくいです。秋と春の気候は日本のほうがいいと思います」(モンゴル/30代前半/男性)
・「日本の夏は湿気が多くて過ごしにくい。しかし、四季折々楽しめるのは日本ならではと思う。パラグアイは気候が不安定で、四季もなく、熱い冬や肌寒い夏もよくある」(パラグアイ/30代前半/女性)
・「暮らしにくいと特に思ってはいないが、夏は確かに湿気が多いと感じた。花粉症も心配になる」(韓国/20代前半/男性)
冬がつらい
・「日本の気候は香港と比べて暮らしにくいと思います。冬に肌が乾燥したり喉を痛めてしまうことが多いです」(香港/20代後半/女性)
・「タイのほうが好きかなと思います。日本の冬はちょっと苦手です。衣替えが面倒くさいです」(タイ/30代前半/男性)
日本の気候は暮らしやすいと思う
・「暮らしやすいです。涼しい」(ベトナム/20代後半/男性)
・「全体的に日本の気候は中国と比べて暮らしやすいと思います。日本のほとんどは温帯に属していて、四季の区別が明確であり、夏と冬の気候が大きく違っている。 日本列島が南北に伸びていることと、季節風や海流の影響を受けて、地域によってその気候が異なると思います」(中国/30代中半/男性)
母国と気候が似ている
・「湿気と台風の事以外、日本とスペインの気候はほぼ同じですが、日本の夏は母国よりきついです。湿度が高いですから」(スペイン/30代前半/女性)
・「日本もルーマニアも四季があります。ルーマニアの夏は暑いけど湿気が少ないので、日本より過ごしやすいです。ただし、冬は日本のほうがちょっと暖かいので、日本の冬のほうがいいです。春と秋はそれぞれいいところがありますが、日本は台風もあるし、天気はよく変わるので、ルーマニアのほうが過ごしやすいと思います。ルーマニアは花粉症もありません。全体で考えると、冬を除けば、ルーマニアのほうが過ごしやすいです」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「あまり変わらないと思うけど、日本の冬は雪が降るほど寒いから、ちょっとだけ耐えられないくらい」(台湾/20代後半/女性)
・「緯度的に、日本とイタリアはあまり変わらないので、四季の流れが似ています。イタリアには梅雨や台風がないので、日本の夏のほうが過ごしづらいですが、慣れないものではありません。セントラル・ヒーティング(集中暖房)のないことのほうが不便に思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「大体同じ感じですね。ハンガリーにも四季がありますが、ここ最近、季節の変わり目が激しくて、異常に早く夏になったり、夏中に急に寒くなったり、異常な天候になりがちです。ただ、これはハンガリーだけじゃなくて、ヨーロッパ全体がそうだと思う。それと比べると日本はもっとゆっくりなペースで季節が変わります。冬から春、春から夏へなどの変わりはもっと遅いけど、途中に急に天気が激しく変わることとかあまりないからいいですね」(ハンガリー/30代前半/女性)
季節の変化が心にいい
・「米国・アリゾナ州は、いつも晴れていて雨が降らないから、秋・冬・春は過ごしやすいですが、夏は死ぬほど熱い(普通に40~45℃くらい上がる)ので、夏は日本の方がいいです。でもやっぱり天気(気候?)の変化が心にいいと感じました。アリゾナ州はあまり変化がないので、なんかつまらないです(笑)」(アメリカ/30代前半/女性)
どちらともいえない
・「何とも言えません。しかし、日本の夏は暑くて冬は寒いです」(フィリピン/40代前半/女性)
総評
今回のアンケートでは、「日本の夏は暑すぎ」という回答が20人中11人から寄せられた。また、「冬が寒すぎ」という人も6人見られた(どちらにも当てはまる回答もそれぞれにカウント)。そして、ほんの少しでもポジティブな回答が含まれていたのは8人だった。今回の回答だけを見ると、日本の気候の何らかに不快と感じている人は、意外と多かったようだ。
私たちが日本の特徴を外国人に説明するとき、「四季折々の美しさ」を語ることも多いと思う。しかし、「衣替えが面倒」(タイ/30代前半/男性)といった、かなり現実的な理由でバッサリと切り落とされていることに、「そこかー!」と思わずにはいられなかった。その一方で、「天気の変化が心にいい」(アメリカ/30代前半/女性)という回答も。日本の四季が好きな筆者としては、その回答にホッとするものを覚える。
そのほか、それぞれの母国の気候についての回答を見て、「これまでの想像と違っていた!」と思う点がいくつもあったのではないだろうか。そこには、長く住んでみなければ体験できない1年の流れがあるようだ。
調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート
※本文と写真は関係ありません