誰だって、1度や2度は「不幸な日」を経験している。例えば、仕事で立て続けにミスをして上司に怒られたり、財布をなくしてしまったりといった具合だ。そのようなつらい出来事は早く忘れるに越したことはないが、そもそもそういったトラブルを「不幸」と認識しない人もいる。
コップに半分はいっている水を見て、「もう半分しかない」と考える人もいれば、「まだ半分もはいっている」と考える人もいる。人によって事象のとらえ方が異なるのは、人間の特徴の一つだろう。
では、私たち日本人と外国人では、ある言葉をイメージしたときに、どのように考え方に差が出てくるのだろうか。今回、日本在住の外国人20人に「自身の考える不幸」に関する質問をしてみたので、印象的な回答をピックアップして紹介しよう。
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Q. あなたの考える「不幸」とは何かをお答えください。また、なぜそう考えるのか理由をお答えください
■身内に悲劇が訪れたとき
・「家族に問題がある、家が不安定になること。なぜなら、会社やキャリア、またはお金のためではなくて、家族のために生きているからです」(フランス/30代前半/男性)
・「家族を失うこと。家族を失うことは想像できないし、想像だけでもしたくない」(台湾/20代後半/女性)
・「家族の誰かが病気になったときです。誰かが病気になれば、生活のリズムを調整しなければいけないため、大変です」(インドネシア/40代前半/女性)
■健康が損なわれたとき
・「不健康や死、けんかなどがとても不幸です」(ハンガリー/30代前半/女性)
・「お金がなくても幸せに生きられるけど、健康がないと周りの人にまで不幸をもたらす」(ブラジル/20代後半/男性)
■精神面が不安定なとき
・「物事を悪い方へ考えてしまうことは不幸です。ネガティブな考え方を持っている人は幸せになれないと思います」(香港/20代後半/女性)
・「自分にとっての不幸は、悩みがたくさんあるということです。悩みがたくさんあると幸せになれないですから」(スペイン/30代前半/女性)
・「『不幸』とは自分の幸福に気づかないことです。いつも今の自分に満足できなくて、他人の幸せをうらやましく思うことです」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「私の考える『不幸』とは幸福に気づかないことです。理由は『人間が不幸なのは、 自分が本当に幸福であることを知らないからである』の言葉の通りです」(中国/30代前半/男性)
■物が満たされない・物をなくしたとき
・「欲しい物を持っていないと感じたとき」(パラグアイ/30代前半/女性)
・「物をなくしてしまうとき。意識した行動ではないから」(ロシア/20代中盤/女性)
■その他
・「意味のない人生が不幸です」(アメリカ/30代前半/女性)
・「『不幸』とは生まれつき背負ったハンディキャップのようなもの。生まれつきなので抵抗するのは難しいですが、一方でうまく付き合うようにしてどうやって乗り越えていくのかが大事だと思います」(フィリピン/40代前半/女性)
・「逃げられない状況で、したいことができない生活を送ることです。しがらみや他の制約のせいで、自由のない人生」(イタリア/30代前半/男性)
・「母国において戦争が起きることです。現段階では隣国によって母国が侵略されています」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「『不幸』とは事故です。理由は説明する必要がないと思います」(モンゴル/30代前半/男性)
・「人の目を気にして生きることです」(タイ/30代前半/男性)
・「自分の大切な人が誰かわからず、迷うこと。大切な人がそばにいないこと。それ以上の不幸はあまりない」(韓国/20代前半/男性)
■総評
「家族に悲劇が訪れたとき」「精神面が不安定なとき」などが比較的多い回答となった。中には、「人間が不幸なのは、自分が本当に幸福であることを知らないからである」というフョードル・ドストエフスキーの言葉を引用しながら説明する人もいた。ただ、全体的にはかなり回答がばらけた格好だ。
一方で、「母国において戦争が起きること」と回答してくれたウクライナの男性の言葉も印象的だった。戦争は国民が望む・望まないに関わらず、その国の人の命や相手国の人の命を無慈悲に奪う。WHOによると、人間は「地球上で2番目に多く人間の命を奪う生物」と評されており、その数は年間で47万5,000人にものぼるという。これだけ文明科学を発達させ、地球上で最も高等な生物であるにも関わらず、このような事態を招いていること自体も、かなりの不幸と言えるのではないだろうか。
※写真と本文は関係ありません
調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート