フランスでチーズの安さにびっくりし、スペインのバルで食べた生ハムのおいしさが忘れられない、という発見もまた旅ならではのもの。「このおいしさを友だちにおすそわけ! 」と思っても、実は持って帰ることが禁止されているものは多いもの。では実際、日本に持ち込めない食べもの土産にはどんなものがあるのだろうか。

空港で困ることがないよう、事前に把握しておきたい

肉製品はどんな形状でもNG

まず、ソーセージやハム、ビーフジャーキーなどの肉製品に関して。「真空パックしていればOK」「缶詰ならOK」と誤認している人もいるかもしれないが、輸入禁止・停止のものや検査証明書がないものは不可であり、免税店で購入したものでも検査証明書がないなら持ち込むことができない。もちろん、お土産ではなく自分で消費するだけの少量だとしても、持ち込みは不可となる。

アメリカ(ハワイ、グアム、サイパンを含む)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、輸出国政府機関が発行する日本向け検査証明書がパッケージに表記されている食肉製品(国によって種類が異なる)も販売されている。それらについては日本に持ち込むことは可能だ。ただし、アメリカからビーフジャーキーを持ち込むことは禁止されている。欧州では日本向け検査証明書が添付されて販売されている商品はほぼないため、日本への持ち込みは不可と考えていいだろう。

スーツケースに隠せばOKは違法。旅先でしっかり食べ納めしよう

肉製品に限らず、動物由来製品のほとんどは動物検疫の対象となるため、持ち込みはできない。動物検疫の対象は、偶蹄類の動物(牛、豚、山羊、羊、鹿など)、馬、家きん(鶏、うずら、きじ、だちょう、あひるなど)、犬、兎、みつばち由来の以下のものとなる。

・肉や臓器(生、冷蔵、冷凍、加熱調理済みの加工品など全ての形状が対象)
・卵(卵殻を含む)
・骨、脂肪、血液、皮、毛、羽、角、ひづめ、腱
・生乳、精液、受精卵、未受精卵、ふん、尿
・穀物のわら、飼料用の乾草(一部の地域)

果物はエリアによって異なる

また、果物や生花、鉢植えの植物などは、その国や地域のほか植物の種類によって、日本への持ち込み可否がそれぞれ細かく定められている。持ち込むことができるものであっても、空港の植物検疫カウンターなどで検査を受ける必要があるため、一度、植物防疫所の「輸出入条件検索」をしてみるといいだろう。

東南アジアを例にすると、入国時の税関検査の前に輸入検査を受ければ、パイナップルやココナッツ、ドリアンなどは持ち込み可能だ。なお、精米は検査を受けて病害虫がいないことが確認できれば日本への持ち込みは可能だが、米の輸入には関税がかかる。個人輸入をする場合、一定量(過去1年間に100kg)までは課税しないという優遇措置がとられている。

乳製品や魚はOK

そのほか、どのようなものならOKなのか。肉は動物検疫の対象となるが、生きていない状態であれば魚は持ち込むことができる。また、チーズやバターなどの乳製品やドライフルーツは、基本的に検疫の対象外となる。なお、マカダミアナッツや落花生は通常の検査で持ち込み可能だが、カシューナッツは持ち込み不可な国・地域も多いため注意したい。

チーズはOK。においのあるものだけに、取り扱いには注意しよう

不正な持ち込みは、没収のほか罰則の対象となる。免税店で肉製品や植物類を販売しているところもあるが、免税店で販売しているからといって検査が免除になるわけではない。また、日本には輸入できない商品などが販売されていることもあるので、それぞれが正しい知識を身につけておこう。

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