スウェーデンの空気清浄機「ブルーエア」の日本総代理店であるセールス・オンデマンドは、9月30日に「Blue by Blueair(ブルー バイ ブルーエア)」を、11月中旬に「Blueair Classic(ブルーエア クラシック)」のリニューアルモデルを順次発売する。

世界基準の"実力派"メーカーが初めて日本市場に投入するコスパ重視のカジュアルモデルに、6年ぶりのリニューアルでスマホを通した"部屋の空気の可視化"をも実現した骨太のメインモデル。そのスゴさをスペックと共に紹介しよう。

「ブルーエア」が新しくなった!(画像は「Blueair Classic」のリニューアルモデル)

「ブルーエア」ってどんな空気清浄機?

「ブルーエア」の製造元は、2016年8月に創立20周年を迎えたスウェーデンのブルーエア社。同社は「Clean air for everyone(人は誰でも、きれいな空気を吸う権利がある)」を信条としている。

「ブルーエア」シリーズの主な特長としては、加湿などの付加機能を省いて空気清浄性能を追求した特化型の機能性のほか、静音性と堅牢性を高めるスチール製のボディー、白とグレーを基調とし、最小限の操作ボタンを搭載したミニマルなデザインなどが挙げられる。24時間連続稼働を前提とした省エネ設計も魅力の1つだ。

一方で、筐体(きょうたい)の重量はプラスチック製の製品と比べ重く、製品サイズも比較的大きい。また、細かい手入れの手間を省きながらフルに性能を発揮させるために"半年に1回のフィルター交換"を推奨しているなど、国内メーカーで主流の空気清浄機とは異なる使用感も特徴となっている。

筆者の自宅にある「Blueair Classic 450E」。側面吸気・側面排気のモデルなので、上に小物が置けて地味に便利だ

スタンダードシリーズが6年ぶりに一新

今回発売が発表されたのは、スタンダードシリーズ「Blueair Classic」の6年ぶりの新モデルと、新シリーズ「Blue by Blueair」。まずは「Blueair Classic」から紹介する。

新発売の「Blueair Classic」は、「280i」「480i」「680i」の3モデルをラインアップ。従来のシリーズでも「270E SLIM」「450E」「650E」の3モデルが販売されており、それぞれの後継機となる。公式ストア価格は、「280i」が7万円、「480i」が9万円、「680i」が13万円。

6年ぶりに一新された「Blueair Classic」。左から、「680i」(13万円)、「480i」(9万円)、「280i」(7万円)

従来モデルからの最も大きな変更点は、Wi-Fiに対応したことだ。スマートフォンアプリ「Blueair Friend App」と連動して室内の空気環境をモニタリングし、6段階レベルで観測された室内環境の状況に合わせて空気清浄機能の稼働を自動制御することが可能となった。

本体に搭載のセンサーは、従来はニオイとホコリのみに対応していたが、新シリーズではPM2.5(微小粒子状物質)・VOC(揮発性有機化合物)・CO2・温度・湿度をモニタリング可能。また、外部データを参照し、住んでいる地域や他国における屋外の空気環境も確認できる。

今回からWi-Fiに対応! スマホアプリで空気の状況をモニタリングし、稼働制御ができる

空気清浄機能も向上した。最上位モデルの「680i」の清浄空気供給量は毎時255~1,105立方メートルで、現在販売中の「650E」の毎時150~830立方メートルと比較すると、単純計算で1.3~1.7倍ほどのスペック向上となる。消費電力を見ると、スピード1(最も弱い風量)では15Wと、「650E」の35Wから大幅に省エネ化。約4倍の効率化を実現した。

デザイン面では、操作パネルを一新。Wi-Fiボタン・運転スピードボタン・フィルターボタン・オートボタンの4つのボタンのほか、空気中のVOCとPM2.5の状況を表す「VOC&PM2.5マーク」も搭載した。操作パネルにはカバーが付いており、使わないときは見えなくしてスッキリとした外観を保(たも)てる。

操作パネルは直感的なデザインで、カバーで隠すことも可能

フィルターの価格はモデルにより異なるが、6,000円~1万8,000円。通常の「ダストフィルター」(6,000円~)のほか、活性炭を搭載し脱臭機能を兼ね備えた「ニオイフィルター」(1万円~)を用意している。ブルーエア社は性能維持のため半年に1回のフィルター交換を推奨しているため、購入時は毎年1万2,000円~3万6,000円のランニングコストも考慮した方がいいだろう。

カジュアルな新シリーズも登場

続いて、新シリーズの「Blue by Blueair」を紹介。公式ストア価格は5万4,500円~と同社製品の中では低めの価格帯で、ユーザー層の拡大を見込む戦略的な商品でもある。

特徴は、プラスチック製のキューブ型ボディーだ。本体下部の全面が吸入部となっており、全方向から空気を吸い込んで、天面のファンで排出する。真上に清浄な空気を排出することから、部屋の空気を循環させるサーキュレーション機能も高いのが特長と言えそうだ。

新シリーズ「Blue by Blueair」(5万4,500円~)

JEMA規格での適用床面積は最大47畳(77平方メートル)で、この数字だけを見ると「Blueair Classic」の「680i」(75畳・123平方メートル)と「480i」(33畳・55平方メートル)の中間に位置するスペックだ。Wi-Fi機能こそないものの、コストパフォーマンスの高いシリーズと言っていいだろう。

デザインは北欧製らしくミニマルで、操作ボタンも1つだけ。タッチセンサーで電源のオン・オフおよび3段階の風量調節ができるようになっている。「Blueair Classic」で採用されていたスチール素材のボディーではないが、直径30cmの大型プロペラファンを使用しているため、ゆっくりとした回転でも風量を保つことができ、静音性を確保した。定格消費電力は44W、1日あたりの電気代は約13円~と省エネだ。

操作ボタンを1つだけ備えたミニマルなデザイン

また、「Blueair Classic」と同じく、「Blue by Blueair」も半年に1回のフィルター交換を推奨している。ラインアップは、通常の集じんフィルター「Blue Pure 221 Particle Filter」(8,000円)と脱臭機能を兼ね備えた「Blue Pure 221 Carbon Filter」(1万2,000円)の2種類。

交換用フィルターは2種類。左から、「Blue Pure 221 Particle Filter」(8,000円)と「Blue Pure 221 Carbon Filter」(1万2,000円)

筆者の主観だが、高価格帯で空気清浄機能に特化したブルーエア社の製品は、空気清浄機の"最初の1台"としては選ばれにくい傾向にあるように思われる。価格帯を下げた「Blue by Blueair」が、「ブルーエア」の名を世に広める起爆剤となるか、新しくなった「Blueair Classic」と共に注目したい。

※記事中の情報・価格は2016年9月時点のもの。価格は全て税別