ホームセンターで売られている衣装ケースや、オフィスのデスク周り用品などでおなじみのアイリスオーヤマは、2009年から家電事業に参入。参入して7年、事業は右肩あがり、同社の事業の中でも一番の売り上げを誇るまでになった。そんな同社がこだわっているのは、国内大手家電メーカーとは一線を画す戦略だ。その戦略とは。

コメの銘柄ごとに炊き分けられる炊飯器

9月、アイリスオーヤマが新たに発表したのは、米の重さに応じて必要な水量を教えてくれる炊飯器「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器3合」。炊飯器の底の部分に重量センサーが搭載されていて、釜に入れた米の量をはかり、必要な水量を表示してくれる。さらに水を注ぐと、必要な水量の残量がわかるようになっていて、超えると知らせてくれるようになっている。

「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器3合」

コメは銘柄ごとに、おいしく炊き上がる水量や火力が少しずつ異なっているが、それぞれをおいしく炊き上げられるように、銘柄別の必要な水量まで教えてくれる。さらには火力も微調整してくれるのだ。

なぜこのような、コメの量と銘柄に合わせて水の量を微調整できる炊飯器を開発したのだろうか。

半数の人が水量計測に失敗している

コメを炊くと「かたすぎる」とか「やわらかすぎる」といった出来上がりのムラができた経験はないだろうか。同社が行なったご飯の食味に関する調査で、炊飯の際に基準となる水の量に約4.5%以上の過不足があると、おいしさが損なわれることが分かっている。そして、水位線を目安とした目視による水の計量の場合だと、水の過不足を常に4.5%にとどめられる人は、3合炊きで約55%。約半数の人が水量のミスによって、最もおいしい状態でご飯が食べられていない現状が浮かび上がった。

同社が、この問題を解決しようと作ったのが今回の炊飯器。

この炊飯器はさらに、炊飯以外の時は、上と下を分離させることができる。下部分は、IHコンロになり、煮炊きなどに利用することができる。上部分は、保温効果が高い素材でできており、おひつとして使用できる。1商品が3役こなしてくれているのだ。