長年にわたって関西圏で活躍した103系を使用し、大阪環状線クラシックトレイン「ぐるKAN4オケClassic」が9月19日に運行された。大阪を代表する4つの楽団から、それぞれ2~3名が車内に乗り込み、アンサンブルによる生演奏を行った。
このイベントは大阪環状線のイメージ刷新を目的とした「大阪環状線改造プロジェクト」の一環で、市民に親しまれてきた「天満音楽祭」とのコラボレーションライブとして開催された。このコラボは今年で3回目を迎える。一昨年は大阪環状線での車内ライブ、昨年は大阪環状線の駅構内でライブ演奏が行われた。今年は事前に抽選が行われ、5,622名の応募の中から当選した100組200名が参加した。
列車は大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)で活躍した103系8両編成(LA05編成)が担当。大阪環状線の103系は201系の導入により数を減らしつつあり、今年度から投入予定の新型車両323系に完全に後進を譲ることが決定している。前面に特製ヘッドマークが取り付けられ、残り少ない103系の勇姿を見ようと、多くの鉄道ファンが沿線に詰めかけた。
大阪環状線クラシックトレイン「ぐるKAN4オケClassic」は、大阪駅を13時38分に発車。外回り(京橋・鶴橋方面)から約40分かけて1周し、14時20分に大阪駅に到着した。この間、参加者は各楽団による美しい音色に聴き入った。1号車では、日本センチュリー交響楽団が葉加瀬太郎さんの「情熱大陸」など6曲を演奏。MCによる楽しいトークも加わり、車内は大いに盛り上がった。
3号車では関西フィルハーモニー管弦楽団による演奏が行われた。楽団のメンバー2名はジョージア(グルジア)出身。来日21年目となるメンバーはエピソードを語りながら、思い入れが深いという日本童謡「赤とんぼ」をはじめ、3曲を演奏した。普段なかなか聴くことのできないジョージア民謡も演奏され、参加者は興味津々といった様子で耳を傾けた。
その他、5号車では大阪フィルハーモニー交響楽団、7号車では大阪交響楽団が演奏。各車両とも美しい音色が響き渡り、普段乗っている103系がコンサートホールに様変わりした。103系特有の揺れとモーター音も、美しい音色に華を添えた。
いくつかの駅で運転停車はしたものの、途中駅ではドアは開かなかった。各駅のホームにも、特製ヘッドマーク付きの103系を見ようと多くの鉄道ファンが集まっており、電車を待っている一般利用者も珍しそうに電車を見つめていた。
大阪駅のひとつ手前の福島駅を通過した時点で、すべての演目が終了。参加者は大阪環状線での美しい音色を楽しんだ様子で、演奏者に対してあたたかな拍手を送り、「素晴らしい」と声をかける参加者もいた。演奏終了後、演奏者のひとりは「電車のブレーキや揺れが新鮮。車内でお客さんと一体になることができた」と語っていた。
なお、「天満音楽祭」は10月2日、天満エリアを中心にさまざまなエリアで開催され、300組を超える演奏者が参加することになっている。当日は大阪ステーションシティ南ゲート広場付近にて、大阪音楽大学管楽器専攻生によるウェルカムコンサートも開催される。