日本の住まいのセキュリティー、外国人はどう思う?

「お出掛けは ひと声かけて 鍵かけて」と言ったのも今は昔。鍵はかけるとしても、今どき隣近所に声をかけて外出するということも少ないだろうが、防犯対策はいつの時代も必要なものだろう。最近では、大手セキュリティー会社のステッカーが貼られていたり、人感ライトを設置している住宅も多い。海外からきた人の目にはどのように映っているのだろうか。日本在住の外国人20人に聞いてみた。

Q. 日本の住宅のセキュリティーについてどう思いますか? 母国と比べて不用心、警戒しすぎ、などがあれば教えてください

警戒しすぎ

・「アラームなどのシステムが多いですが、世界一安全な国なので、やり過ぎと思います。フランスは盗難が多いですが、アラームまで持ってるのはお金持ちの方のみ」(フランス/30代前半/男性)

・「日本の住宅のセキュリティーはとてもしっかりしています。時に警戒しすぎと感じたことがあります」(モンゴル/30代前半/男性)

・「警戒しすぎ」(ベトナム/20代後半/男性)

いい対策が採られていると思う

・「十分だと思います」(インド/40代前半/男性)

・「ウクライナに比べれば、大変よく対策が採られていると思います。日本と比べるとウクライナの方が不用心の場合が多く、監視カメラなど機械に任せるのではなく、人が待機しているパターンが多いです」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「いいと思います。場所によっていいところもあれば、悪いとこもあります。タイでは一般家庭にセキュリティーを使うことがまだ少ないですから、結構泥棒が多いです」(タイ/30代前半/男性)

・「とてもいいと思います。インドネシアは一軒家が一般的で、家のセキュリティーは鍵を閉めるくらいです」(インドネシア/40代前半/女性)

・「今住んでいるアパートはセキュリティーがない古いアパートですが、住んでいるエリアは危なくはないので不安ではありません」(アメリカ/30代前半/女性)

・「学校の寮に住んでいるから、セキュリティーが完備されていてとても安心。管理員さんがいるから、届け物、荷物などを預かってもらえるのも便利」(台湾/20代後半/女性)

日本ならこれで十分

・「日本はもともと安全な国のため、ブラジルで必要なほどのセキュリティーは必要ないと思います。テレビ局や大規模な工場に入ると、ブラジルの一般住宅ビルを思い出す。なぜかというと、どこでも必ず警備員がいるからです」(ブラジル/20代後半/男性)

・「日本の住宅のセキュリティーは、危ない国なら結構不足していると思いますが、結構安全な国ですのでこのままで大丈夫だと思います。スペインで同じセキュリティーのレベルなら不足と思われ、泥棒が簡単に入れてしまいます」(スペイン/30代前半/女性)

不用心と思う

・「中国と比べて不用心だと思います。例えば、マンションの管理人は基本的に午前中しかいない。午後と夜のセキュリティーは? 中国の場合は、もしセキュリティースタッフがいるところであれば、基本的に24時間交代制でやっている。さらにセキュリティースタッフはセキュリティーの仕事に専念できる。日本の管理人さんは基本的に掃除などの仕事もやっていて、さらに基本的には年を取っている方なので、セキュリティー機能はまったくないです。逆に日本は安全な国なので、そこまで必要ないかもしれない」(中国/30代中半/男性)

・「イタリアと比べれば、警戒が低いと思います。鉄柵は少なくて、門がなかったり、低かったりする住宅がたくさんあります。地方になると家と家と境目があいまいで、柵などがまったくないところも多く見受けます。それが一番驚きました」(イタリア/30代前半/男性)

・「日本の住宅はちゃんとアラーム付きの家もあれば、窓開けっぱなしの家もあります。いくら治安がいいからと言って、日本でも最近犯罪が増えているような気がしますので、もうちょっと警戒した方がいいかもしれません。ルーマニアはそんなに治安がよくないので、すべてのアパートは1階の窓に鉄格子が付いています。玄関のドアも日本のドアよりもっと丈夫なものにします」(ルーマニア/30代前半/女性)

・「不用心かな。1階の部屋のドア(障子)など、まずハンガリーにあったら、たぶん泥棒がすぐ壊して入るでしょうね。1階の窓からも入りやすいのに、日本人、誰も怖くないのかな……。ドアを開けっ放しにして出掛けたり、バッグも開けっ放しにして電車の中で寝てしまったりする人など……不思議に感じます」(ハンガリー/30代前半/女性)

・「日本の住宅のセキュリティーは、香港と比べて不用心すぎだと思います。カギをかけない家が多いです」(香港/20代後半/女性)

・「日本のセキュリティーは甘いと思う。治安の違いによるものだと思う」(パラグアイ/30代前半/女性)

お金がかかりそう

・「ほとんどの住宅は、セコムなどのようなセキュリティー会社に契約され、すごいお金がかかるのではないかな。フィリピンでは窓ガラスに鉄棒をつけたり、あるいは犬を飼ったり、防犯対策として取り組んでいます」(フィリピン/40代前半/女性)

そのほか

・「セキュリティー面では韓国と日本で差を感じたことはあまりない」(韓国/20代前半/男性)

・「オートロックがあるマンションにした。日本はロシアより安全感がもっとあるのに、悪い人はどこの国にもいるから、住宅で何もセキュリティー設備がなかったら不安。母国でもオートロックがあるマンションに住んでいた」(ロシア/20代中半/女性)

総評

今回のアンケートでは、「警戒しすぎ」から「不用心」まで、さまざまな回答があった。母国と比較して、というより、日本のセキュリティーのどの部分を見るかで、感じるところも異なるような印象だ。

大都市圏であれば、セキュリティー会社と契約して家を守るようなハイテクを駆使したものが増えており、「それはやりすぎ」と考える人もいるだろう。逆に、地域によっては鍵を開けたまま外出することが珍しくない場合もあるので「不用心」と映るのかもしれない。しかし、「バッグを開けっ放しにして電車の中で寝ている人がいる」(ハンガリー/30代前半/女性)という回答のような、いかにも不用心な場面をしばしば見かけることを考えると、確かに日本人の警戒心は低めなところもありそうだ。

また、フィリピンの回答者が言うように、日本でも一昔前までは「犬を防犯のために飼う」ということがあったものの、今ではそのような意味で飼っている人は少ないだろう。時代や治安水準の変化で防犯の方法は変わっていくが、「悪い人はどこの国にもいる」(ロシア/20代中半/女性)という意見は、いかに日本が世界と比較して安全だと思っていても、心のどこかに置いておいた方がいいのかもしれない。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート

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