声優アーティストの水樹奈々が、2016年9月22日(木・祝)に女性ソロアーティスト初となる阪神甲子園球場でのライブ"NANA MIZUKI LIVE PARK 2016"を開催。37,000人を動員し、雨が降り注ぐ中、最新シングル「STARTING NOW!」を含む全27曲を熱唱。水樹ライブ恒例の大型乗り物や楽器演奏といったサプライズ演出など、この日この会場でしか見られない一夜限りの公演となった。
公演当日早朝、グッズ売場には多くのファンが詰めかけ、その数およそ7,000人。タイガースカラーの黄色を基調としたユニフォームに加え、ミニバッドや野球盤、ジェット風船など野球をイメージしたグッズが多く見られた。また、阪神タイガースファンとして知られる水樹が初めて甲子園球場で行うライブということもあり、デイリースポーツも「水樹奈々甲子園特別号」を発売。会場近くで販売するなど、ある種祭りのような盛り上がりとなっていた。
曇り空の中、17時すぎ開演。「行くぜ、甲子園!」という声と共にステージに水樹が登場。風船が空に放たれる中、「アオイイロ」を披露した。"PARK=公園"というライブタイトルにちなみ、ステージセットは鉄の骨組みをベースにしたジャングルジムのようなイメージ。バックダンサーやバックバンドのメンバーが鉄の枠内をそれぞれ移動していくなど、まさに公園に遊びにきているような演出が見られた。
最初のMCでは「夢見たいです。まだ信じられなくて、鳥肌が止まらなくて…、オープニングから泣きそうでした」と公演開催への喜びを語った。
そして7曲目の「POP MASTER」では、会場全員でのジェット風船飛ばしが行われ、アリーナを含めた37,000人が一斉に風船を飛ばすという野球の試合でも見たことのない圧巻の光景に、「超綺麗だったねー! 甲子園ライブという夢がもしも万が一叶ったら、7曲目でこれをやりたかったんです!」と阪神タイガース戦を彷彿とさせる演出でタイガース愛を存分にアピールしていた。
本編中盤のSHORT MOVIEでは、ゲストで上坂すみれが登場。TVアニメ『この美術部には問題がある!』で共演している二人だが、映像の内容もアニメ内のエピソードをモチーフにしたのだろうかと思われる、空き缶アートを製作するというもの。そして映像の後、アニメのオープニングテーマ「STARTING NOW!」を歌唱しながらグラウンド外周に登場した水樹が乗っていたのは、なんと大きさ12mという恐竜の骨格。時折口からCO2を噴射するなど迫力のある姿に会場からは大きな歓声があがっていた。
ステージに戻った後のMCにて12月21日にニューアルバムのリリースが決定したことを発表。早速アルバムに収録される新曲「STAND UP!」を披露した。野球をモチーフにした歌詞になっており、甲子園でのお披露目にぴったりの一曲だった。
21曲目の「アパッショナート」ではステージセット上部から火花のナイアガラの特効が降り注ぎ、水樹のほとばしる歌声に更に会場の熱はヒートアップ。しかし、特効が終わったはずなのに目の前には大粒に降り注ぐものが…。まさにナイアガラのごとく大雨が降り出したのである。「(みんな)大丈夫? いろんな甲子園が味わえて、気持ちいいー! なんか…これもすごい演出。天の恵みよ! だって水樹奈々だもん!」と語り、この大雨を演出にすら変えてしまう前向きさ、そして雨に打たれながらも元気にそして叙情的に歌い上げる水樹の姿に、多くのファンが心を打たれたことだろう。
そして、まだまだ豪雨が続く中始まったアンコールでは、更なるサプライズが待っていた。会場からの大きな「奈々」コールに応え、ステージに戻ってきた水樹が手にしていたのはアルトサックス。サックスのフレーズが印象的な楽曲「Fun Fun★People」を演奏し、会場からはどよめきと共に再び大きな歓声があがっていた。「甲子園でなにか新しいチャレンジをしたいなぁと思っていた時に、"甲子園"から"高校野球"…スタンド席で応援している熱いブラスバンドの皆様! というのが思い浮かんで、『あ! サックスやろう!』と私の中で脳内展開されてしまいまして」と語った後、もう一曲聞きたいというファンの声援に応え、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」をサックス演奏。ここでもタイガース愛をしっかりアピールしていた。
続いて再びグラウンド外周に出ると、登場したのは可愛らしいサファリバス型のフロート。アリーナ、内野・外野スタンドの隅々まで届くよう、終始笑顔で手を振り続け、雨の中でもまだまだ元気な水樹の姿に勇気をもらったファンも多かったのではないだろうか。ダブルアンコールのMCでは2017年1月より7年ぶりの冬ツアーを開催することを発表。初の沖縄公演が入る予定とのことで、47都道府県制覇を目指している水樹にとって、また夢の達成へ一歩近づくこととなるようだ。
そしてこの公演のラストに披露された曲は「JET PARK」。"LIVE PARK"というタイトルの公演を総括するようなこの選曲に、「水樹奈々公園」に遊びにきてくれた全ての人々を、様々な演出と世界観で最後の最後まで楽しませたい! といったチーム水樹の強い想いを感じ取ることができた。
阪神タイガースファンの水樹にとって「聖地」である阪神甲子園球場での初ライブ。晴れ女と名高い水樹にとっては珍しく途中豪雨の中での公演となったが、その中でも全力でファンを喜ばせたい、そして感謝の気持ちを届けたいという水樹の気迫あふれるパフォーマンスは「伝説の一夜」と言っても過言ではなく、この日限りのプレミアムな公演となったことは間違いないだろう。
「NANA MIZUKI LIVE PARK 2016」セットリスト
<OPENING MOVIE>
M-01. アオイイロ
M-02. POWER GATE
M-03. It's Only Brave
M-04. Naked Soldier
M-05. SCARLET KNIGHT
M-06. アンティフォーナ
<Cherry Boys コーナー>
M-07. POP MASTER
M-08. 76th Star
M-09. Summer Sweet
M-10. コイウタ。
<TEAM YO-DA コーナー>
M-11. The NEW STAR
M-12. Faith
M-13. TRANSMIGRATION
M-14. 熱情のマリア
<SHORT MOVIE>
M-15. STARTING NOW!
M-16. レイジーシンドローム
M-17. 7COLORS
M-18. STAND UP!
M-19. MASSIVE WONDERS
M-20. ETERNAL BLAZE
M-21. アパッショナート
M-22. BRAVE PHOENIX
<<ENCORE>>
M-23. Fun Fun★People
※六甲おろし
M-24. You have a dream
M-25. ミラクル☆フライト
M-26. 恋想花火
<<W ENCORE>>
M-27. JET PARK
photo:hajime kamiiisaka