文化庁は9月21日、2015年度「国語に関する世論調査」の結果の結果を発表した。調査は2015年2月~3月、全国16歳以上の男女を対象に行われ、1,959人の有効回答を得た。
上司に「敬語を使うべき」は増加傾向
会社に勤めている人が上司である課長に対して敬語を使って話すべきだと思うか思わないかを、4つの場面を挙げてそれぞれ聞いた。「敬語を使って話すべきだと思う」は、「会社での仕事中」が91.5%、「社員旅行に行って、ほかの社員もいる部屋で話すとき」が61.4%、「仕事の後、二人で飲みに行った酒場で話すとき」が46.4%、「休日に買物先の店で出会ったとき」が64.8%だった。過去の調査結果(1997年、2004年度)と比較すると、「敬語を使って話すべきだと思う」はすべての場面において増加傾向にあった。
仕事が終わったときは「お疲れ様」? 「御苦労様」?
自分が会社員であるとして、同じ会社で同じ仕事を一緒にした人たちに対して、仕事が終わったときに何と言う言葉を掛けることが一番多いかを聞いた。「お疲れ様(でした)」は、「一緒に働いた 人が自分より職階が上の人の場合」が 76.0%、「一緒に働いた人が自分より職階が下の人の場合」が 61.4%がそれぞれ最多だった。
過去の調査結果(2005年度)と比較すると、「お疲れ様(でした)」は「一緒に働いた人が自分より職階が上の人の場合」が7ポイント、「一緒に働いた人が自分より職階が下の人の場合」が8ポイントそれぞれ 増加している。一方「御苦労様(でした)」は「一緒に働いた人が自分より職階が上の人の場合」が6ポイ ント、「一緒に働いた人が自分より職階が下の人の場合」が8ポイントそれぞれ減少している。
課長のことを何と呼ぶ?
会社の課長に部下が呼び掛けるときどの呼び方が一番望ましいと思うか聞くと、 「課長」が62.5%と最も高く、次いで「課長さん」 (17.7%)、「名字に『さん』を付ける」(16.0%)とな っている。 過去の調査結果(1996年度)と比較すると、「名字に『さん』を付ける」が7ポイント増加しているが、「課長さん」 は10ポイント減少している。
年齢別に見ると、「課長」は16~19歳、20代、70歳以上で他の年代より低く、5割弱から5割台後半となっている。一方「課長さん」は、30代以降年代が上がるに従って増加しており、70歳以上で37.7%と最も高くなっている。「名字に『さん』 を付ける」は、40代以下で他の年代より高く2割台となっており、特に20代では28.0%と最も高くなっている。
また、会社の受付の人が外部の人に自分の会社の鈴木課長のことを話す場合、どういう言い方をする のが一番良いと思うかを尋ねた。「鈴木は…」が41.1%と最も高く、次いで「課長の鈴木は…」(30.9%)、「鈴木課長は…」(24.3%)となっている。 過去の調査結果(1997年度、2004年度、2005年度)と比較すると、「課長の鈴木は…」は2005年度調査から今回調査で4ポイント増加しており、「鈴木課長は…」 は減少傾向にある。
年齢別に見ると、「鈴木は…」は20~50代で他の年代より高く4割台後半から5割台前半となっている。「課長の鈴木は…」は20代から60代までで3割台となっているが、16~19歳と70歳以上で2割台前半と低くなっている。「鈴木課長は…」は70歳以上(45.2%)及び16~19 歳(31.0%)で他の年代より高くなっている。