国民生活センターはこのたび、全国の消費生活センターなどに寄せられた美容医療サービスに関する相談内容ついて発表した。それによると、60歳以上の相談件数は2014年度がピークであるものの、契約購入金額は年々高額化。特に60歳以上の女性を中心に深刻な高額請求トラブルが発生していることがわかった。
60歳以上の相談件数が増加
美容医療サービスとは、医師による医療のうち、「専ら美容の向上を目的として行われる医療サービス」を指し、医療脱毛、脂肪吸引、豊胸手術、二重まぶた手術、包茎手術、審美歯科等が主な施術となる。
60歳以上の相談件数は2011年度が160件、2012年度は193件、2013年度は230件、2014年度は253件、2015年度は204件、2016年8月31日までの相談件数は67件となった。
2011年度の契約購入金額の全体平均金額は68万2,781円、そのうち60歳以上の平均金額は86万5,086円となった。その後、60歳以上の平均金額は右肩上がりで上昇し、2015年度の契約購入金額の全体平均金額は70万8,428円、そのうち60歳以上の平均金額は126万8,023円、2016年8月31日までの契約購入金額の全体平均金額は68万7,395円、そのうち60歳以上の平均金額は162万6,925円となった。
女性の相談者が86%を占める
美容医療サービスにおける契約当事者60歳以上の相談1,107件を年代別にみると、60歳代が58%(641件)を占めて最多。70歳代は33%(361件)、80歳以上は9%(105件)となっている。性別は、男性が全体の14%(156件)であるのに対し、女性は86%(950件)となった。
相談事例は、「しわ伸ばしのためにクリニックに行ったら即日施術され、約1,300万円を請求された」(70歳代・女性・神奈川県)、「相談のつもりで訪れたクリニックでしつこく勧誘され、帰るために即日施術をしてしまった」(70歳代・女性・千葉県)、「クリニックでリフトアップの注射をした。一部支払ったが、効果の説明や高額な請求に納得がいかない」(70歳代・女性・山梨県)、「目の下のたるみを取る注射をしたが、5年間保証なのに全く効果がなく、対応もされない」(70歳代・女性・和歌山県)などがあった。