物件選びで、多くの人にとって重要なポイントとなる「最寄り駅からの距離」。会社勤めであれば毎日その距離を歩くことになり、疲れて帰ってきた日などは「近くてよかった」「遠くてしんどい」などと考えるかもしれない。しかし、どれくらいの距離が遠いと思うかは、個々の感覚や住んでいる地域によって多少の差はあるだろう。さらに外国人であれば、それは母国の感覚に由来するのかもしれない。今回は、最寄り駅から徒歩何分で"遠い"と感じるか、日本在住の外国人20人に聞いてみた。
Q: 物件を選ぶとき、最寄り駅から徒歩何分で"遠い"と感じますか? 母国での事情も教えてください
10分以上
・「駅から徒歩10分以上だったら遠く感じます。モンゴルの首都ウランバートルにはまだ地下鉄や電車がないから公衆交通としてバスしかないです。同じくバス停まで10分以内だったらいいです」(モンゴル/30代前半/男性)
・「10分でも遠く感じました。タイだと車やバイクが便利です。歩くことは少ないかもです」(タイ/30代前半/男性)
・「徒歩10分以上。パラグアイではほとんど歩かない」(パラグアイ/30代前半/女性)
・「10分以上」(ベトナム/20代後半/男性)
・「10分から遠いと感じます。パリはメトロの駅が多いので、10分以上離れているところは逆にないです。郊外から車を利用します」(フランス/30代前半/男性)
・「駅から徒歩10分以上だと遠いと感じます。香港は狭くて、バス路線が多くて便利で、駅が近いです」(香港/20代後半/女性)
・「10分。韓国では光州という地方に住んでいて、バスを主に利用していたが、バス停は簡単に設置できるのに比べ、駅は費用が高いせいか結構間の距離があったので、遠いと思ってしまった」(韓国/20代前半/男性)
・「現在住んでいる物件は徒歩6分なので、出張や旅行などの時にちょうどいいなぁと思います。またウクライナでは全体的な距離感が違いますので、徒歩10分でもいい方の範囲に入ると思います」(ウクライナ/30代前半/男性)
15分以上
・「15分くらいの距離だと少し遠く感じる。台北では駅と駅との距離は結構近くて、歩いても10分以内だと思う」(台湾/20代後半/女性)
・「15分以上は"遠い"と感じます。母国は広いため、多分倍以上だと思います」(中国/30代中半/男性)
・「最寄り駅から徒歩15分以上は遠いと思います。ルーマニアの場合、公共交通手段が充実していて、住宅街の近くにバス停や路面電車や地下鉄の駅がありますので、ほとんど歩かないですみます」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「15分は遠いと思いますが、本当は10分より遠くに住みたくないです。スペインでは実家に住んでいましたので、そちらで物件を選んだ経験がありませんが、選べたら同じく駅から遠くても10分がいいと思います」(スペイン/30代前半/女性)
20分以上
・「20分です。ブラジルでは自転車に乗る習慣がありませんので、物件を選ぶときは本当に"徒歩"の感覚で選ばないといけないため、もっと短い"5~10分"の物件を優先します」(ブラジル/20代後半/男性)
・「徒歩20分。インドだと電車以外の移動手段も多いので、あまり考慮しません」(インド/40代前半/男性)
・「20分、ロシアでも同じ」(ロシア/20代中半/女性)
・「25分ぐらいなら遠いと感じます。フィリピンでは交通機関はどこでも止まるので、そんなに歩かなくても大丈夫です」(フィリピン/40代前半/女性)
・「よく歩く人なので、20~30分ぐらいかな。アメリカ・アリゾナ州は車の文化なので、徒歩の距離はあまり比べられないですが、車だとやっぱり20~30分以上だと遠いと思います」(アメリカ/30代前半/女性)
30分以上
・「30分以上は遠いと思います。 インドネシアでは、もともと住宅街の中の交通があまり便利ではないので、それを条件にあまり入れていません。物件探しで注意するポイントは水、アクセス(道路が整備されているかどうか)です」(インドネシア/40代前半/女性)
・「日本に来てから、"遠い"の基準の変化を強く感じました。イタリアなら、30分から"遠く"感じるのが一般的だと思いますが、日本の場合は10分以上でも遠く感じる人もいます。今は最寄り駅から歩いて15分程度のところに住んでいますが、イタリアならまったく遠く感じないでしょう。日本では電車やバスは非常に便利なので、皆さんは余計に遠く感じるのでしょうか」(イタリア/30代前半/男性)
そのほか
・「石川県金沢市に住んでいるので、金沢駅が町の真ん中で、どこに住んでいても多分どちらかというと遠いですね。金沢には地下鉄もないから、『駅』より『バス停』かな? バス停なら近いですが。出身町はブダペスト(ハンガリーの首都)ですが、トラム(路面電車)やら地下鉄やら結構なんでもあって、大分便利ですね。でも大都会なので、あまり金沢と比べようがないかなと思います」(ハンガリー/30代前半/女性)
総評
今回のアンケートでは、外国人20人中8人が「徒歩10分は遠い」と感じていた。その理由の多くは、車社会であったり、公共の交通機関が充実していたりと大体の交通手段が豊富だからというもの。「逆に、10分以上離れているところはない」(フランス/30代前半/男性)という、なんともうらやましい地域もあるようだ。
そのほか、「母国での物件選びでは、距離をあまり考慮しない」という回答が、インドとインドネシアの回答者から寄せられた。インドでは「移動手段はいろいろあるから」という理由だが、日本でも距離をそんなに考えなくてすむならば、住める家の範囲は格段に広がるのではないだろうか。
一方、インドネシアの回答者は「もともと住宅街の中の交通が便利ではないから」という理由を挙げていた。さらに住まい選びの条件は「水と、道路が整備されているかどうか」とのこと。それを考えると、余程の場所でない限りどちらも整備されている日本での物件選びは、楽な方なのかもしれない。
調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート
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