パナソニックは9月13日、同社の「ふだんプレミアム」コンセプトに沿ったエアコン・冷蔵庫・洗濯機の新製品説明会を開催。会場では製品説明のほか、さまざまなデモンストレーションが行われた。
温度の異なる風を吹き分ける
パナソニックのエアコンは、昨年(2015年)モデルにおいて世界初といわれる「温冷感センサー」を搭載。これは、身体から放出される熱量をセンシングして、家族それぞれが感じる「暑い」「寒い」を見分ける機能だ。周囲との温度差から、人が厚着か薄着かまで判断できるという。
この温冷感センサーによって、室内にいる暑い人と寒い人を「見る」機能は実現した。次は、「ちょうど良い風を作る」機能と、「風を届ける」機能を進化させたという。それが、今年発表されたルームエアコン「Eolia WX/Wシリーズ」なのだ。
【左】発表されたばかりの、パナソニックのエアコンフラッグシップモデル「Eolia WXシリーズ」 【右】2015年モデルのエアコンに搭載された「温冷感センサー」も継続搭載。会場では、センサーのデモンストレーションも行われた。サーモグラフによって、身体全体の表面温度が周囲より高いと「薄着」と判断。身体から熱の放出が少ないと「厚着」をしていると判断する |
新モデルのEoliaシリーズで最大の特徴となるのが、ひとつのエアコンで温度帯の異なる2つの風を作り出せる「ダブル温度熱交換器」の存在だ。エアコンの風は、エアコン中心部にあるファンが回転することで発生し、この風が熱交換器を通ることで熱風や冷風となる。
「ダブル温度熱交換器」は、新技術である「可変圧力弁」を採用。これにより、熱交換器内の冷媒圧力を変化させて、ひとつの熱交換器の上部と下部で温度を変えることができるようになった。暖房時なら、高温の熱交換器エリアに風を当てれば「温かい風」、中高温の熱交換器エリアに風を当てれば「ぬるい風」を吹き出すことが可能で、なんと最大約10℃差の温風が作れるという。
現在、ほとんどのメーカーがフラッグシップモデルのエアコンに「暑い人・寒い人」を見分ける機能を搭載している。しかし、暖房時なら「暑い人には弱風、寒い人には温風を強く当てる」というように、「風の強弱」あるいは「風を人に直接当てる、または避ける」などの送風方法で温度コントロールをしている。今回のWX/Wシリーズは、風の強さや方向ではなく、「風の温度を変える」という画期的な機能なのだ。
冷媒の力で熱くなったり冷たくなったりする、エアコン内部の熱交換器。熱交換器の内側に風を送るファンがあり、風を熱交換器の間に通すことで「温風」や「冷風」が吹き出す |
新型のWX/Xシリーズは「可変圧力弁」を搭載。冷媒圧力を変化させることで、熱交換器をエリアごとに異なる温度に設定できるようになった |
とはいえ、温度の異なる風を作るだけでは「快適さ」は実現できない。「高温風は寒い人」「中温風は快適な人」に届けるため、従来モデルは2列だったフラップを、新WXシリーズでは3列搭載した。さらに、真ん中のフラップは左右で独立して動くようになっている。風を左右に散らす役目を持つルーバーも上下2段に配置し、上下・左右で4つのエリアで独立して動き、風の方向を自由にコントロールできるという。
風を左右に送る「ルーバー」は上下段、さらに左右の4エリアで独立して制御可能。きめ細かな送風ができる |
会場では異なる温度を体験できるコーナーもあった。エアコン前にある左右の「輪っか」に手を入れると、温度の違いが感じられる。左は40℃、右は33℃の風を送風。実際に体感すると、かなり温度が違う |
ナノイーX搭載で清潔性もアップ
WX/Xシリーズでもう一つ注目したいのが、「ナノイーX」の存在だ。パナソニック製品に搭載されている「ナノイー」といえば、除菌やカビ抑制、脱臭機能などを持つイオンのこと。ナノイーは目に見えない大きさの水粒子で、この水が「OHラジカル」を包み込んでいるのが特徴。OHラジカルは、菌やカビに触れると菌の持つ水素を抜いて菌を無効化。さらに、OHラジカルと水素と結合することで水へと変わる。
WX/Xシリーズで新しく採用された「ナノイーX」は、水粒子に含まれるOHラジカルの量が、なんと従来の10倍に増えた。
このため、部屋に浮遊する菌やカビ、ウイルス、花粉などのアレル物質に対する抑制効果も非常に高くなっているという。
ナノイーXは室内だけでなく、エアコン本体内にも放出。エアコン内部のカビやニオイの抑制もし、いつでもきれいな風が送風できるそうだ。
このほか、冬の「霜取り中」も室内温度を下げない「新エネチャージシステム」を搭載。さらに、熱交換器の高効率化やコンプレッサーの改良、蓄熱槽配管量の増量などにより、省エネ性能もアップしているという。