インテル セキュリティは14日、2017年版の個人向けセキュリティ製品「マカフィー リブセーフ」を発表した。発売日は10月14日。既存ユーザーには9月下旬から順次提供を開始する。価格は1カ月版で689円(税込)から。
今回発表された2017年版では、Windows向けに次世代マルウェア対策エンジン「Real Protect」を搭載したことが大きな特徴。新エンジンは、シグネチャベースのローカル検知と、クラウド対応のマルウェア検出システムを組み合わせ、脅威のふるまい検知と機械学習を通じ、自動的にマルウェアの検出・ブロックを実施する。
例えば、メールにマルウェアが添付された場合、まずはPC内のウイルス定義ファイル(DATファイル)で、ウイルスのシグネチャ情報を確認。ゼロデイ マルウェアなどでシグネチャベースの検知やふるまい検知に引っかからなかった場合は、分析に必要な情報をクラウド上に送信する。クラウドでは送られた情報を元にマルウェアを分析し、実際にマルウェアと判断された場合は、PCでの挙動を停止させる。
この流れは完全に自動化されており、利用者の一人が最初に送ったゼロデイ マルウェアの情報はクラウド上で機械学習により蓄積され、他ユーザーが同じマルウェア情報を送信した際にスムーズに分析・検知されるようになる。なお、最初の情報を送る一人になったとしても、クラウド上での分析時間は数秒程度で、「ユーザーが"遅い"と感じることはない」とする。同日開催の発表会では、そもそもデータが検知システムをすり抜けクラウドに情報が送られる確率も低く、従って最初の一人になる可能性は限りなく"ゼロに近い"とも語られた。
新エンジンを開発した背景は、「マルウェアを作る犯罪者は、通常の定義ファイルで検知されない次世代マルウェアを作成している」ため。開発にあたっては「セキュリティソフトはゼロデイ攻撃など最新の対策を講じる必要があるが、とはいえデバイスが使いにくくなっては意味がない。挙動や時間など、利便性のバランスを考えながら次世代エンジンを開発した」(インテル セキュリティ バイスプレジデント兼チーフコンシューマセキュリティ エバンジェリストのギャリー・デイビス氏)。
2017年版では全体的な高速化も図られた。インストール時のファイルサイズは従来から半減し、ユーザー登録も不要になった。パフォーマンスでは、20164年版と比べ、起動時間が19%、シャットダウン時間が17%高速化。また、最初のフルスキャンが41%、フルスキャン時のCPU使用率が44%低減、バッテリ消費が25%低減するといった性能向上が図られているという。
このほか、パスワード管理機能「True Key」を強化。マスターパスワードのリセットや、他のパスワード管理ソフト/アプリからの認証データのインポートができるようになった。Apple製品への対策も強化し、脅威情報をリアルタイムで提供する「McAfee GTI」はMac向けの「McAfee Security for Mac」と連携。Apple Watchにも対応し、Apple WatchからiPhoneの電池残量や本体の場所が確認できるようになった。これはセキュリティというより、利便性を重視した機能とのこと。
2017年版のラインナップは下記の通り。
- マカフィー リブセーフ (1ユーザー3年版/1年版/3カ月版)
- マカフィー トータル プロテクション (1ユーザー3年版/1年版)
- マカフィー インターネット セキュリティ (1ユーザー3年版/1年版)
- マカフィー アンチウイルス プラス (1ユーザー1年版)
- マカフィー アンチウイルス (1台1年版)
なお、同社は米国時間7日、同社のセキュリティ事業であるIntel Securityを独立させ、投資ファンドのTPGと共同でサイバーセキュリティ事業の新会社を設立すると発表している。同社シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのクリス・ヤング氏は7日に公式サイトへ声明を発表。新会社「McAfee」でも継続してセキュリティ製品やサービスを提供していくとしている。