かつて起きた航空事故の裏側に迫る映画『ハドソン川の奇跡』(9月24日公開)で主演と務める俳優のトム・ハンクスが、自身が演じる機長のモデルとなった人物から航空機の操縦法の指導を受けていたことが、このほど明らかになった。

エンジンが停止する機内の様子

クリント・イーストウッド監督がメガホンをとる本作は、2009年にアメリカ・ニューヨークのハドソン川で起こり"奇跡"と称賛された航空事故の生還劇の知られざる真実に迫る映画。ハンクス演じるサリー機長が運転する155人を乗せた航空機のエンジンが突然、160万人が住むアメリカ・マンハッタン上空で停止。高速で墜落する70トンの機体を制御し、ハドソン川に着水させることを決断して大事故を防いだサリー機長は、英雄として称賛されるも、不条理な疑いをかけられ容疑者になってしまう。

この奇跡の事故の様子をリアルに再現するため、ハンクスは副機長ジェフを演じたアーロン・エッカートと、実際のパイロットたちが訓練に使うフライト・シミュレーションで操縦を特訓。オスカーを2度受賞しているハンクスでも、実際に航空機を運転しているような感覚になるこの訓練には苦労したようだ。

「本当に飛行機に乗っている感覚だった。操縦以外、何も想像する余地がないんだよ。機体の傾きとか動きとか物理的にリアルに感じてとにかく驚いた」と難しさを語るハンクス。それだけでなく、本作では両エンジンが停止するという事故が起きた時の究極状態をも再現しなければならない。このため、ハンクスとエッカートは事故の当事者である実在のサリー機長から操縦法を学んだ。

サリーは、2人に専門技術を徹底的に特訓。コックピットではどんなことが行われているのか、実際に操縦するとどんな感覚なのか、サリー機長の指導によってハンクスとエッカートはリアリティのある演技を習得することができたそうだ。ハンクスは、サリーが「シミュレーターに入れば飛行機の操縦がどんなものか分かるよ」と何度も言っていたことを明かし、「その通り、サリーとジェフがたった208秒でどれだけ多くの判断を下さなければならず、さまざまな感情があふれたであろうことを実感できた」「コックピットで2人に何が起きたのかリアルに描くことができたと思う」と猛特訓の成果からの自信をのぞかせた。

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