NECパーソナルコンピュータ(NECPC) コンシューマ事業プレジデントの宗像淳執行役員常務は13日、同日発表した同社製PC「LAVIE」2016年秋冬モデルの狙いや事業戦略について説明した。
宗像プレジデントは、「2016年秋冬モデルでは、PCの楽しさの追求にこだわる。PCがライフスタイルに必要な製品になるにはどうするのか、どんな提言をしていけばいいのか。家族で使えるクリエイティブツールを提供したり、映像・サウンドのクオリティを追求したりすることで、PCを身近なものに感じられるよう具体的に取り組んでいく」と述べた。
PCを使うシーンが浮かばないなら、それは我々の反省点
国内PC市場が縮小傾向にあり、特にコンシューマ市場においては、スマホを日常的に使う若年層を中心に、PC離れが進んでいるという指摘がある。
宗像プレジデントは、「PCを見て、使うシーンが思い浮かばない、利用方法がわからないと人が多い状況があるのならば、それは我々の努力不足であり、反省点である。PCを使いたいと思ってもらうこと、ある作業をPCで置き換えたいと思ってもらえることを提案できれば、コンシューマ市場は右肩上がりに転じるだろう」と前置きし、「LAVIEでは、Digital Dramatic Daysを切り口に、ITをより身近なものに感じてもらい、デジタルライフをすべての人に提供していくことに取り組んでいる。2016年夏モデルでは、ニュースや天気、家族の伝言板を、PC上でいつでも確認できるインフォボード、ネット動画が誰でも楽しめるように、人力で悪質なサイトをブロックし、子供でも安心して利用できるLAVIEチャンネルを提供した。地道な進化であるが、これもどうやったらPCを使ってもらえるのか、身近に感じてもらえるのかへの取り組みである」とした。
2016年秋冬モデルでもこの考え方を踏襲する。使いたい写真と撮影時期と主役を選ぶだけで、フォトムービーを作成する機能を追加したフォトムービー簡単作成アプリ「MediaShow」と、ヘッドホンで音を聴いている際にも、目の前で鳴っているように自然に聞こえるモード「イマジナリースピーカー」を新規に搭載したのが特徴だとする。
NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部コンシューマグループ・マネージャーの富澤和義氏は、「家族の楽しい思い出の写真をたくさん撮影しても、データだけがたまってしまう、がんばって整理しようとしても、時間がかかりすぎるという問題に多くの人が直面している」と、デジタルカメラ時代の課題を説明。MediaShowを使うことにより、「1年分の思い出も、すぐにフォトムービーとして楽しむことができる。同時に、こだわりのフォトムービーも作ることが可能になる」と説明する。
また、イマジナリースピーカーについては「大画面ディスプレイで、音も楽しんでほしいと思っているが、夜間は家族や周囲への配慮もあり、ヘッドフォンを使わなくてはならないという場合もある。そのとき自然なリスニングを可能にするのがイマジナリースピーカーであり、これは、ヤマハの研究所の技術を活用したものである」と説明した。
第7世代Intel CoreをノートPCで採用、デザインも新しく
最も売れ筋となる15.6型ノートPC「LAVIE Note Standard」では、ハードウェアも強化している。
上位モデルでは、高精細な4K2K液晶ディスプレイや、明るく鮮やかな表示が可能なLED-EX2液晶ディスプレイを搭載していること、LAVIE向けに独自設計したヤマハサウンドシステムを搭載していること、Intel第7世代Core i7の搭載やDDR4による8GBメモリの搭載をはじめとする、快適操作のためのスペックを実現していることを強調。
一方で、高速データ転送できるUSB 3.1コネクタも搭載していることや、打ちやすさ、使いやすさにこだわったキーボードを開発し、2.0mmのストロークによる打鍵感のある操作を可能にしたポイントなどについても説明した。
ショップインショップ「LAVIE Shop」を全国展開
今回の秋冬新製品発売にあわせ、NECPCでは「LAVIE Plus」という小冊子を制作。店頭などを通じて配布することを発表した。LAVIE Plusは、今後継続的に発行し、具体的な利用提案につなげていく。
第1弾として、PCで子供やペットを見守る提案を行う「安心ホームセキュリティ」をテーマに発行。Webと連動してPC購入前の関心を高め、具体的な事例を通じて、需要を喚起していくことになる。
「LAVIE Plusでは、PC新製品にサードパーティ製品を組み合わせることで、具体的な用途をシナリオとして提案。購入前に、PCが使えるシーンを認識してもらうことが狙い。販売店に対しても、パソコン本体だけでなく、サードパーティー製品を同時に販売する機会を提供していくことができる」(宗像プレジデント)とした。
LAVIE Plusでは今後、「昔の写真やビデオの活用」「ハイレゾ音楽鑑賞」「アウトドア動画撮影」「みまもりセキュリティ」などをテーマに発行を予定している。
また、ショップインショップ型のLAVIE Shopを全国22店舗で展開。実際に、店頭でデモを行うほか、写真や動画加工方法のレクチャー、子供向けプログラミング体験などを通じて、クリエイティブなライフスタイルをイベント形式で提案するという。今後、LAVIE Shopの拡大も図る考えだ。
販売店に対しては、接客やサポートでの連携を強化。同社から販売店への説明機会の場を増やすという。
そのほか、動画などを通じてパソコンの使い方を学ぶことができるLAVIEアシストにより、購入後の操作理解を促進する考えを示した。「LAVIE Plus、LAVIE Shop、LAVIEアシストといった施策を通じて、購入前、購入時、購入後までをサポートする体制を強化する」と述べた。
「98(キューハチ)」を目指した新プロジェクトが進行中
一方で、9月6日にPC-9801が未来技術遺産に登録されたことに触れ、「かつて人々のパーソナルコンピュータを変えたPC-98のDNAを、LAVIEは継承している。新たなDigital Dramatic Daysや、様々な企業との共創といった提案を行うなど、新たなパーソナルコンピューティング時代が訪れている。その時代における『98(キューハチ)』を目指して、様々なプロジェクトを進行している。現時点では、内容については明らかにできないが、ぜひ期待してほしい」と述べた。
PC-9801は、1982年に発売しており、来年には発売35周年を迎える。