毎日の激務に耐えるご褒美としてのバケーションは最高だ。大型連休などを利用して、毎年必ず1回は海外に行ってリフレッシュするという人も多い。そんな休暇が、実は免疫力アップに効果的かもしれないとの研究が発表された。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「休暇とストレスや免疫の関係」を調べた研究を紹介するコラムが掲載された。リゾート地で休暇を過ごせば、ストレス発散や細胞活性化、老化防止に役立つかもしれないという。
ニューヨークのマウント・サイナイ・アイカーン医科大学、カリフォルニア大学、ハーヴァード医科大学の研究者グループは、30歳から60歳までの健康な女性94人に同じリゾートで1週間を過ごしてもらった。
研究グループは女性たちを「そのままリゾートで過ごす」「マントラ瞑想やヨガ、自省などを含めた瞑想プログラムをリゾートで行う」の2グループに分け、さらに比較対象として「(ほかの2グループと同様に)1週間の休暇をとるように登録した瞑想の熟練者30人」を研究した。そして、リゾート滞在前と1週間の滞在後の血液検査により、ストレスや細胞の健全さ、加齢に関連する生体指標などを調べた。さらに、滞在から1カ月後と10カ月後にアンケートを行った。
研究グループは、どの遺伝子が変化をしているのかを調べるため、3グループの2万にもおよぶ遺伝子を調べた。有意の変化は、リゾートで1週間を過ごしたすべてのグループに見られた。研究者たちは、この変化をリゾートがもたらした「休暇効果」と見ているが、最も顕著な変化は、ストレス応答や免疫機能に関連する遺伝子において見いだされた。特に効果が高かったのは、休暇中の瞑想の熟練者グループだった。
そして1カ月後のインタビューでは、すべての研究参加者が気分がよくなったと答えている。また、リゾートでヨガなどの瞑想プログラムを実践したグループの方が、そのままリゾートで過ごしたグループよりもうつ病の兆候が少なく、長期的ストレスレベルも低かったという。すなわち、「休暇+瞑想」が健全な心身を手に入れるためのカギというわけだ。
瞑想をすることで、長期的に細胞を保護し新陳代謝がよくなる一方で、昔ながらの休暇は精神面に幸福をもたらすが、短期間の効果しかない――。研究グループはこう考えている。
「瞑想は免疫システムに安心感を与えることで体の回復活動を促進させる方法の一つで、瞑想が健康的な加齢につながっていくのかもしれない」とハーヴァード大学のルドルフ・タンジ教授は語る。
もしもリゾート地域へと現実逃避できないのであれば、せめて瞑想にふけろう。自省だけでもすることで、新陳代謝がよくなり、免疫力が高まることが期待できる。体は自分の部屋に置いていても、精神だけははるか遠くへと飛び立たせよう。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。