指しゃぶりはどうしたらやめさせられる?

気になる子どもの指しゃぶり。どうしたらやめさせることができるのだろうか。その対処法について、芝公園小河歯科医院 前田隆秀先生に伺った。

3歳過ぎたら指しゃぶり卒業の準備を

赤ちゃんを観察していると、口元を指で触れると反射的に指を吸う「原始反射」が見られる。これは哺乳類特有のもので、基本的には全ての新生児に見られるそうだ。

一方、指しゃぶりはしない子どももいる。そのため原始反射とは言えず、3歳を過ぎても継続して行っている場合、クセ(習癖)になっている可能性が高いそうだ。

乳歯が生えそろう年齢になっても指しゃぶりを続けていると、歯並びやかみ合わせ、発音、顔のりんかくなどに悪影響が出てきてしまうとのこと。親としては何としても早めにやめさせたいところだが、どのような方法が良いのだろうか。前田先生は以下の3つの方法をオススメしてくれた。

方法1.とことん遊ばせる

指しゃぶりは、退屈やストレスが原因となっているケースが多い。そのため、外遊びなどの運動や、指を使う遊び、絵本の読み聞かせなどを行い、子どもが満足するまで、とことん遊ばせてあげよう。その結果、指しゃぶりで気持ちを紛らわす時間がなくなり、自然に卒業できる場合もあるという。

どんな時に指しゃぶりを行っているか観察し、心理的・環境的要因を探ってみることも大切。「何が不快なのかな? 」と、おおらかな気持ちで想像してみよう。不快だと感じていそうな場面に応じて、子どもが満足いく遊びを提供してあげるのもポイントだ。

方法2.優しく理由を言い聞かせる

しゃぶっている指を無理に払いのけて「やめなさい! 」と言っても、なぜいけないのか、子どもには理解することが難しいだろう。まずは優しく手を持って、他の楽しい遊びに導いてあげることを心がけよう。そして分別がついてきたら、指しゃぶりが原因で歯並びが悪くなった口の写真を見せるなどして、やめた方がよい理由を分かりやすく説明すると、効果的だ。

指しゃぶりをしていない時には、大いにほめてあげることも忘れずに。

方法3.道具やプロに頼ってみる

1、2の対処法を試してみてもやめる気配がない場合は、苦味成分を配合したトップコートや、手袋などを使うのも1つの手だ。しかし、そのような方法でやめさせても、ストレスや不満が原因となっている場合、何か別の行動が起こる可能性があるので、頭の片隅に入れておこう。

また、4~5歳以降も指しゃぶりをする場合は、小児科医や小児歯科医などの専門家に相談することをお勧めしたい。指にタコができるほどエスカレートしてしまうと、呼吸器の感染症や歯並びなどの心配も出てくるためだ。何か心理的な問題がないかも、確かめてもらおう。

後から振り返ってみたら「いつの間にかやめていたな……」と思えるくらい、あまり強く意識しすぎず、ゆっくりと、指しゃぶりの卒業を目指してほしい。

※写真と本文は関係ありません


前田隆秀先生プロフィール

日本大学 松戸歯学部名誉教授、芝公園 小河歯科医院にて小児歯科・小児矯正歯科部門の責任者を務める。日本大学歯学部卒業後、自治医科大学、東京医科歯科大学を経てカナダ・トロント大学に留学し、小児の健全な口腔育成に必要な知識、技術を習得。
日本大学松戸歯学部小児歯科学講座教授に就任した後は、臨床、研究、学生教育に専念するかたわら、小児歯科専門医指導医として、数多くの小児歯科専門医を育成してきた。