女優・清水富美加と飯豊まりえが、"イヤミス"旋風を巻き起こした小説の実写映画『暗黒女子』(2017年春公開)でW主演を務めることが、このほど明らかになった。

映画『暗黒女子』ビジュアル

"イヤミス"とは、湊かなえ氏の『告白』など「読んでイヤな気持ちになる結末であるものの、その後味の悪さからクセになる」というミステリーの人気ジャンル。秋吉理香子氏の『暗黒女子』は発売直後から多くの感想が寄せられ、話題になった。

物語の舞台は、聖母マリア女子高等学院。ある日、学院の経営者の娘で全校生徒の憧れだった白石いつみが校舎の屋上から落下して亡くなり、やがて、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したと噂されるようになる。親友だったいつみから会長を引き継いだ澄川小百合は、「白石いつみの死」のテーマを設け、部員が書いた物語を朗読する定例会を開催。物語は5つ、それぞれが"犯人"を告発する作品が発表されていく。

この小百合を演じる清水といつみを演じる飯豊のほか発表されたキャストは、清野菜名、玉城ティナ、小島梨里杏、平祐奈の4人。清野は女子高生にして現役ライトノベル作家でプライドの高い高岡志夜役を、玉城は苦労人の留学生ディアナ・デチェヴァ役を、小島は老舗料亭の娘でパティシエを夢みる小南あかね役を、平は奨学生であることを負い目に感じている二谷美礼役を、それぞれ務める。

原作(文庫版)のカバー

メガホンを取るのは、『百瀬、こっちを向いて。』(13年)で報知映画賞監督賞にノミネートされた耶雲哉治監督。『心が叫びたがってるんだ。』だけでなく、『凪のあすから』(13~14年)など多くのTVアニメで、若者の煮え切れない人間関係やその心理を描くことに評価が寄せられてきた岡田麿里氏が、衝撃と陶酔がもたらされる密室ミステリーの脚本を執筆する。

清水は、「もはや女子高は現実にあるものの異世界だと思っているので、とっても不安でした」と吐露。しかし、「撮影に入ってみて同世代のかわいい女の子たちが頑張っていて、勇気をもらいました」と現場での喜びを口にする。本作については、「女子のブラックな部分が存分に出る作品」と表現。「それから人間関係での悩みや鬱憤(うっぷん)を晴らすつもりで臨みたいです。ごめんなさい」と笑みを見せる。

一方の飯豊は、「女の子のリアルな世界観を、よりダークに暗黒女子というスパイスを加えて描いている作品」と分析。「後味は正直悪い」と率直にコメントしながらも、「それが、他にはなくて新鮮で面白い」と評している。いつみについては、「誰もが憧れる太陽の存在だけど、自分の世界に入り込めるスイッチがはっきりしている女の子」と説明。「初めての役柄で、戸惑いや不安もありますが、監督やキャストのみんなと一緒に精いっぱい頑張っていきたい」とアピールしている。

実写映画で初めて脚本を手掛ける岡田氏は、「実写映画に携わるのも、朗読で進行する物語の脚色も初めてでしたが、耶雲監督の描くイメージが鮮明だったので、迷いなく『そこに乗っていこう!』と思えました」と制作の裏側を告白。原作を読んだ際は、「息がつまりそうなほどに濃密な少女の香り」を感じたようだが、劇場版でも「若く暴力的なほどに美しいキャスト陣が、貴重な少女の香りを惜しげもなく放ちまくっています」と強調した。

(C)2017「暗黒女子」製作委員会 (C)秋吉理香子/双葉社