能年玲奈から改名した女優・のんが9日、声優を務めた映画『この世界の片隅に』(11月12日公開)完成披露試写会に、原作者のこうの史代、片渕須直監督とともに登壇した。

左から片渕須直、のん、こうの史代

同作は、こうのの同名コミックを原作にアニメーション映画化。戦時中、呉に嫁いだ主人公・すず(のん)と、夫の周作(細谷佳正)を取り巻く人間関係と戦時下での生活、悲劇と再生を描いていく。

アニメ声優初挑戦となるのんは、主人公との共通点を「『ぼーっとしてる』って言われるところ」と挙げた。さらに「だけど気の強いところがあるみたいな、パワフルなところに共感しますね」と語った。

収録でものんは、監督に「なぜ、すずさんがこう言うのかわからない」と何度も質問。のんは「監督にしつこすぎて大丈夫かなと思ってたんですけど」と不安そうにしたが、片渕監督が「とんでもないです」と返すと、「ありがとうございます」と笑顔になった。

片渕監督は、質問に答える中で「作品の本質を捉え直すことにもなった」と説明し、「エンディングを作り足したんですけど、反映されているんじゃないかなと思います」と明かした。そして「単純にすずを演じてるだけでなく、一度すずさんを理解するという役回りをしていただいて、それがこちらにも跳ね返ってきて、作品がすごく良くなったと思っていますので、とても感謝しています」と、のんの役作りを絶賛した。

のんは作品について「普通の暮らしというのが、どんな時でもあって、生きていかなくちゃいけなくて。戦争というものが、生活の中に隣り合わせで入ってくるものだと今回感じて、それがすごく怖い」と、とつとつと語った。「だからこそ生活が素晴らしくて幸せに思える作品だと思えます」と主題を捉えて発言。「ぜひ、ご家族で見ていただけるとすごく大切なものを共感できるんじゃないかなあと思います」と、メッセージを送った。