多くの日本人が一度はハンバーガーやピザを口にしている。これらのいわゆるジャンクフードを、たまに無性に食べたくなる衝動に駆られる人もいるだろうが、やはり食べ過ぎは体によくないらしい。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「ジャンクフードとアルツハイマーのリスク」に関する記事が掲載された。甘くて高脂肪のジャンクフードを食べる西洋式の食事によって、認知機能の低下などを招くアルツハイマー病に罹患するリスクが高まることが最近の研究で明らかになった。
他国の人と比較して、アメリカ人は退行性脳障害を患う平均リスクが高い。その原因として、アメリカ人の食生活が挙げられている。「アメリカ人の食事パターンはアルツハイマーに影響を与えるたんぱく質を増やしがちで、コレストロールを上昇させて脳への血流を閉塞させる」と、今回の研究で中心的役割を担ったサンフランシスコ・サンライト・ニュートリション・アンド・へレスリサーチ・センターのウィリアム・グラント博士は語る。
「生態学的研究と分析による多くの証拠から、いわゆる『西洋式食事スタイル』、特に肉類の多量摂取がアルツハイマー病の罹患リスクと密接に関連していると考えられる」とグラント博士は指摘している。実際、伝統的な「地中海式食事スタイル」のアルツハイマー病罹患リスクは、西洋式食事スタイルの約半分とされている。
グラント博士は研究で、世界各国の食生活の変化とアルツハイマー病の罹患率に与えた影響を調べた。まず、グラント博士は10カ国(ブラジル、チリ、キューバ、エジプト、インド、モンゴル、ナイジェリア、韓国、スリランカ、米国)のアルツハイマー病の有病率を調査。そこから、各国の公式栄養ガイドラインをさかのぼり、食事内容を参照することでアルツハイマー病との因果関係を追った。
たとえば、1985年の日本におけるアルツハイマー病の罹患率が1%であれば、その年の5年前、10年前、15年前の栄養ガイドラインを調べ、食生活の変化がアルツハイマー病の罹患率に与えた影響を調査するといった具合だ。
その結果、すべての国で西洋式食事スタイルに変化すると、アルツハイマー病の罹患率が上昇していた。食材の中でも、アルツハイマー病に最も関連しているのは肉類の消費であり、卵と高脂肪乳製品も大いに関連しているという。
一方で、穀類や果物、野菜、魚、多くのビタミンDを摂取することは、アルツハイマー病の罹患リスク低減に役立つと結論付けている。だが、「(それらの食品の摂取に)肉類や卵、高脂肪乳製品の悪影響を打ち消すほどの効果はない」とグラント博士は警告している。
たまに食べる分にはいいかもしれないが、毎日のようにジャンクフードを食べることは、脳にとって危険だと覚えておこう。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。