日立ジョンソンコントロールズ空調は9月6日、ルームエアコン「ステンレス・クリーン 白くまくん」シリーズの新製品「Xシリーズ」を発表した。冷房能力2.2kW~9.0kWの全11機種を10月末に発売する。

業界初となる、在室者を個別に識別して在室時間などを見守るカメラ機能が搭載された、日立のルームエアコンの新製品「ステンレス・クリーン 白くまくん Xシリーズ」

新製品は、15人までの在室者を識別する人識別画像処理技術を採用した「くらしカメラ AI」を搭載。カメラが捉えた在室者の顔画像を、頭、顔、服の特徴や色情報によって見分けて個人を識別し、活動量や位置情報に加えて在室時間までを追尾して把握する。

加えて、従来モデルでも実装している6枚フラップによって、100万通り以上の中から適した気流を制御する技術を組み合わせる。在室時間の変化によって生じる過度な寒さや暑さといった不快感を事前に予測して、気流や設定温度などをコントロールして個人に応じた快適さを保ち、省エネ性も実現する。

「くらしカメラ AI」のユニット部。画像カメラは人を見分ける新機能が加わった。温度カメラは、温度センサーと湿度センサーを利用することで、室内の湿度分布を算出できるようになった。カメラや金赤外線LEDの色が従来よりも淡色のブルーに変更になっている。写真右は「くらしカメラ AI」の構成解説図

「くらしカメラ」は同社が2013年から搭載している機能だが、これまでの画像カメラ、温度カメラ、ものカメラ、お部屋カメラに加えて、新たに「湿度カメラ」を追加。室内の湿度分布を算出する業界初の機能で、湿度の状態に合わせて気流を送ることができる。

「くらしカメラ AI」の出力映像。カメラで室内にいる人を識別し、体感温度の変化を予測するため、それぞれの在室時間を測定している

「くらしカメラ AI」のオン・オフ時を比較した、在室者のサーモグラフィー変化。オフの場合には、滞在時間が長い人の表面温度は青くなってしまっているが、オンの場合には気流をコントロールして個別に風を吹き分けるので、2人とも冷やしすぎないことがわかる

同社のエアコンは、室温を下げずに除湿を行える再燃方式の「カラッと除湿」が特徴だが、湿度カメラと組み合わせた「ランドリー除湿(カラッと部屋干し)」モードと「カビ見張り除湿」モードを新たに搭載。設定しておくと、洗濯物があるエリアや湿度が高い場所を検知して、優先的に気流を送ってくれる。

洗濯物を室内に干した状態で、カメラが室内の湿度分布を算出しているのを表した出力画像。それをもとに、洗濯物方向に気流を送っている様子をレーザーポイントで表したデモンストレーション

弱冷房方式と再燃方式による除湿の違い。いずれもエアコンを運転している空間に加湿器を設置して加湿しており、弱冷房方式は温度を下げても湿度は77%までしか下がっていない。一方の再燃方式は、湿度を34%にまで下げているが、温度は23℃を保っている

そのほか暖房時の即暖性を高める「スピード暖房」機能でも、「くらしカメラ AI」を活用。カメラで人のいる位置を見分けて足元を中心に温風を送り、人の周囲が暖まったところで部屋全体を暖めるよう自動運転を行う。

それ以外にも、送風性能の向上のため、立体的な吹き出し口の形状や、室外機側にも新構造の圧縮機や新形状のプロペラファンなど、省エネ性能アップを図る新機構が採用されている。

価格はオープンで、推定市場価格(税別)は、冷房能力が2.2kWモデルが240,000円、2.5kWが250,000円、2.8kWが260,000円、3.6kWが270,000円、4.0kWが280,000円、5.6kWが310,000円、6.3kWが330,000円、7.1kWが350,000円、8.0kWが370,000円、9.0kWが400,000円。

【左】日立の最上位モデルで2015年モデルから採用されている、6分割したフラップ。バリエーションに富んだ気流を生み出す「ステンレスフラップ6」(上)と「ビッグ&ウェーブファン」 【右】日立の「白くまくん」シリーズの特長である「ステンレス・クリーン・システム」。ステンレス製の素材を採用することにより、雑菌の繁殖や汚れを抑制する

ファンの下の吹き出し口は「3D新フロントノーズ」と呼ばれる新設計に改良。左右両端の隅の部分に角を設けることにより、従来よりも効率的に風を送り出す

圧縮機の新旧比較。内部の構造を見直し、圧縮時のモーターや過熱損失が低減されている

圧縮機を駆動するコンバーターとインバーターのスイッチング素子も新システムを搭載することにより、回路効率の向上が図られている

室外機のプロペラファンの新旧比較