母国のお菓子と比べて和菓子はどう?

日本の心のひとつ「和菓子」。伝統のお菓子とはいえ、特に若年層では日常的に食べている人は少なくなっているかもしれない。では、外国人の目に和菓子はどのように映っているのだろうか。母国のお菓子事情との比較も含め、日本在住の外国人20人に聞いてみた。

甘さ控えめでおいしい・食べやすい

・「甘さ控えめでとってもおいしい。ブラジルの菓子の食感や甘さに似ている羊かんは大人気。逆に、せんべいや味がしっかりしていない日本のおつまみみたいな和菓子は、あまり食べられません」(ブラジル/20代後半/男性)

・「インドのお菓子は甘いものが多いです。日本の和菓子は健康に考慮した種類が多く、甘さも控えめなので食べやすいです」(インド/40代前半/男性)

・「和菓子は甘すぎることなく、インドネシアのお菓子より好きです。インドネシアでは昔、砂糖が安かったので、砂糖を控えている人はケチだとよく耳にしました。なので、母国のお菓子は私にとって甘すぎるので、あまり食べません」(インドネシア/40代前半/女性)

・「スペインと日本のお菓子はけっこう違いますので、比べるのが難しいと思います。和菓子の特徴は甘くないということで、スペインの洋菓子は甘いという特徴があります。両方それなりにおいしいと思います」(スペイン/30代前半/女性)

甘すぎるが食べ方によっては美味

・「和菓子の味はハンガリー人の私にとって、とても甘く感じます。そのまま食べるのは少し苦手ですが、苦くておいしい煎茶・抹茶と一緒ならすごくおいしく感じて、この2つの味の組み合わせが大好きです。ハンガリーのお菓子はヨーロッパのお菓子と似たような感じで、洋菓子のケーキ・クッキーなどがたくさんあります。ケーキは日本のケーキより味が少し濃くて、カロリーももっと高いかもしれませんが、手作りが多くておいしいです」(ハンガリー/30代前半/女性)

芸術的・高級なイメージ

・「一番の違いは見た目です。日本の和菓子はサイズが小さく、芸術品で、鑑賞用みたい。中国のお菓子のサイズは全体的に日本より大きく、見た目を全然重視しないお菓子もたくさんある。また、和菓子は甘いものが多く、作る時に油はほとんど使われない。中国は味はさまざまで、甘味・塩味・辛味など種類が豊富。作る時に油をよく使う」(中国/30代中半/男性)

・「和菓子は非常に繊細でありきれいです。タイでは伝統なお菓子もありますが、非常に甘すぎると感じることがあります。やはりそこも暑い国ならでのお菓子と感じます」(タイ/30代前半/男性)

・「和菓子と言えば、職人がていねいに作り上げる高級なお菓子というイメージがよくある。でも、台湾のお菓子というとなんか庶民的なもので、誰でも(主に子どもたち)簡単に手に入るものだと思う」(台湾/20代後半/女性)

味がシンプルすぎ

・「和菓子は非常に甘くて、味がシンプル過ぎる。ロシア人の口に合わない」(ロシア/20代中半/女性)

母国のお菓子とはココが違う

・「ウクライナでは、お菓子と言えばチョコレートで、いろんな種類があります。和菓子のような上品な甘さではなく、もっとストレートな甘さが作り出されています」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「和菓子はルーマニアの菓子より身体にいいです。ルーマニアの菓子は脂肪と砂糖を多く使うため、カロリーが高いです」(ルーマニア/30代前半/女性)

・「イタリアでは、お菓子と言えばクッキー類とケーキや甘いパン(シュークリームに似ているもの)が多い。和菓子は大豆、タレ、きな粉など、イタリアには存在しないものがよく使われます。味も根本的に違うと思います。よく洋菓子は『甘すぎる』という意見を聞きますが、そもそも甘さの種類は全く違うのでは、と思います」(イタリア/30代前半/男性)

・「お菓子の面では日本よりモンゴルの方が手作りが多い。和菓子はやや甘い感じがしている」(モンゴル/30代前半/男性)

・「日本の和菓子は種類が多い、材料はシンプル(米、麦など)、あまり甘くはない。ベトナムは種類が少ない、材料は複雑(混ぜることが多い)、甘い」(ベトナム/20代後半/男性)

・「和菓子は砂糖の甘さしか使わない気がします。また、フランスではあんこなど豆系は入れないです。果物やチョコレート、キャラメル以外は入れません」(フランス/30代前半/男性)

・「和菓子はブランドとしても商品としても、韓国の伝統菓子に比べて確たる地位を確立している。韓国の伝統菓子はその需要や生産量において、絶対的にも相対的にも日本の和菓子に比べ明らかにマイナーである。それは、韓国伝統のお菓子が和菓子に比べ、品質が落ちるとかおいしくないとかといった理由よりも、第2次世界大戦中、日本の植民地時代を経ながら、伝統の抑圧などによって生まれた違いだと思われる」(韓国/20代前半/男性)

・「アメリカのスイーツは基本的甘すぎてあまりおいしくないです。和菓子も甘いですけど、レベルが違います」(アメリカ/30代前半/女性)

・「和菓子はもち系で、甘いものの方が多いですが、香港の菓子はパイ系でしょっぱいものが多いです」(香港/20代後半/女性)

・「フィリピンのお菓子はとても甘い。普段は露店で売られているものです。大体ココナツのミルクまたココナツの実は入っています」(フィリピン/40代前半/女性)

母国にある和菓子と日本の和菓子の違い

・「パラグアイの和菓子(日系人が製造)は、味は日本の和菓子と変わらないが、少し甘い」(パラグアイ/30代前半/女性)

総評

今回のアンケートでは、和菓子は「甘さが控えめ」と感じる人が多かった。しかし、中には逆に、甘すぎると感じている人もいる。もちろん個々の好みの違いが大きいだろうが、母国で慣れ親しんだお菓子の味によって、和菓子の受け取り方も変わってくるのかもしれない。また、「母国の甘すぎるお菓子は、暑い国ならでは」(タイ/30代前半/男性)のように、お菓子は気候に左右されているという回答はなかなか面白い。

その他、和菓子の芸術性を評価する声もあった。「食事はまず目で楽しむ」という日本の価値観は、和菓子にも反映されている。それを感じ取ってくれているのは、日本人としてうれしいことだと筆者は思う。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート

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