仙台箪笥の技法を用いた各種製品の製造・販売を手がける長谷部漆工は8月、ブックシェルフ型仙台箪笥スピーカー「HBS10」シリーズを発売した。価格は1セット税別32万6,000円から。
同製品は、伝統的工芸品の指定を受けた技法をそっくり応用し、本格和風家具調の外観デザインを実現。スピーカーの本体材には、仙台箪笥に使われる本ケヤキを採用している。
さらに、30以上の工程を経て透明の漆を塗っていき、木地呂塗りで鏡のような光沢が出るように表面を仕上げることにより、落ち着いた色合いと風格を現した。インテリアとして楽しめるのはもちろん、A4サイズよりも小さい本体は本棚にぴったりと収まり、現代の住環境ともマッチする。
また、10cmフルレンジスピーカーを搭載し、スピーカーの背面から出る音をボックスにつくられた一部開放部から出るように設計されたバスレフ型設計にすることで、クリアな高音域とのびやかな低音域のバランスを保ち、厚みと深みのある豊かなサウンドを実現。クラシックからジャズ、コンピューターサウンドといった幅広いジャンルの音楽を魅力的に再現でき、特に1980~90年代の楽曲の再現性は抜群とのこと。
なお、仙台箪笥は2015年6月に経済産業大臣指定伝統工芸品の指定を受けているが、同社ではその前年4月から仙台箪笥の魅力をより広く紹介するための新たな提案を検討し、制作技法に多くの共通性があるオーディオ・スピーカーに着目したとのこと。市販のスピーカーキットでニス塗りと漆塗りの試作比較を行ったところ、漆塗りスピーカーの音色が大きく変化したことから同製品の開発を本格的に始動したという。