ソニーモバイルコミュニケーションズは、IFA 2016会場にてメディア向けに、スマートフォン「Xperia XZ」および「Xperia X Compact」、「Xpriaスマートプロダクツ」について説明の機会を設けた。本稿ではXperia XZ / X Compactの進化点について取り上げる。

「トリプルイメージセンシング」でカメラを強化

エントリーの「Xperia XA」ライン、メインストリームの「Xperia X」ラインに、フラッグシップの「Xperia XZ」ラインを追加。Xperia X CompactはXperia Xラインの新機種となる

Xperia XZおよびXperia X Compactは、2月のMobile World Congressで発表された「Xperia X」シリーズの最新モデルとなる。Xperia Xシリーズは当初、エントリー向けの「Xperia XA」ライン、メインストリーム向けの「Xperia X」ラインでスタートしたが、今回、フラッグシップモデルとなる「Xperia XZ」ラインが追加された。そして、Xperia X Compactは、メインストリームのXperia Xラインに位置づけられる。

2016年4月1日よりXperiaスマートフォンの商品企画を統括している、ソニーモバイル プロダクトビジネスグループ UX商品企画部 UX商品企画1部 統括部長の野村泰晴氏の説明によると、Xperia XZとXperia X Compactは「カメラ」「アシスト」「デザイン」の3点にフォーカスして開発したという。

ソニーモバイル プロダクトビジネスグループ UX商品企画部 UX商品企画1部 統括部長 野村泰晴氏

進化のポイントのひとつが「カメラ」

Xperia XZおよびXperia X Compactのカメラには、「トリプルイメージセンシング」と呼ばれる新たな技術を盛り込んでいる。被写体の動きが静止しているもの・遅いもの・速いもの、野外・曇り・インドア・夜といった明るさの違いなど、撮影シーンには様々な状況があるが、今回のカメラでは、どの状況でも綺麗に撮影できることを目指した。

まず、撮像素子 (イメージセンサー) のExmor RS for MobileはXperia Z5と同じものだが、画像処理エンジンの最適化を進めて、画質を向上させている。例えば、従来は暗い場所でノイズを抑えるため、細部がつぶれてしまうことがあったが、全体的に高精細に見えるように進化している。

写真を撮影するシーンには、被写体の速度や明るさの違いなど様々な条件がある

画像処理エンジンをチューニングしたことで、細かな部分の解像感が高まっている

オートフォーカス (AF) に関しては、こちらもXperia Z5から像面位相差AFとコントラストAFと合わせた「ハイブリッドAF」により、0.03秒の高速AFを実現。また、Xperia Xでは、被写体の動きを予測してフォーカスを合わせる「先読みAF」で、動く被写体への対応力も高めていた。

ただ、これまでのAF機能は、暗い場所には弱かった。そこでXperia XZおよびXperia X Compactでは、「レーザーAFセンサー」を搭載することで、暗い場所でのAF性能を大きく高めたという。これにより、「速くて正確で暗い場所でもしっかりピントが合う、集大成といえるカメラができた」と野村氏は語った。

Z5で「ハイブリッドAF」、Xで「先読みAF」が取り入れられ、XZとX Compactでは「レーザーAF」が追加された

ハイブリッドAFでは苦手だった暗い場面でのフォーカスをレーザーAFが強力に補う

さらに、Xperia XZおよびXperia X Compactでは、新たに「RGBC-IRセンサー」を搭載した。従来は、撮像素子に入ってきた光のRGBバランスを見て外光の状況を判断していたという。しかし、撮像素子に入ってくる光は、目に見えない赤外線をカットするフィルターを通しているため、正確な光の情報が得られず、最終的にホワイトバランスがふらつくという現象を引き起こしていた。今回、RGBC-IRセンサーを追加したことで、赤外線部分も含めて外光の状況を判断し、的確にホワイトバランスを設定できるようになった。

ちなみに、Xperiaのカメラでは基本的に、被写体そのものが持つ色を忠実に再現するのではなく、撮影している人が見て感じている色合いを再現する方向で取り組んでいるという。

RGBC-IRセンサーを搭載したことで、撮像素子に光が届く手前で赤外線部分をカットせず、ホワイトバランスを決めるため、より正しい色合いを再現できる

従来モデルでは青みがかるなど苦手だったシーンでも、目に見える本来の色が再現されるようになった