同氏は冒頭、我々が現在、クラウドを中心としたICTによる社会変革の分岐点にいることを説明し、次のように語った。

「クラウドはすべてを覆そうとしている。インテリジェント世界が間もなくやってくるだろう。我々は30年前に情報化社会に突入したが、今ではクラウドコンピューティング、ビッグデータが進化することによってインテリジェンスな世界に突入している。これが大きな社会変革になる。今後は、ICTがもっとも重要な礎になる。インテリジェンスな世界では、端末やデバイスによりすべてのものを感知し、ネットワークによってすべてをつなげ、クラウドによってすべてのものがインテリジェンスなものになるという3つの特徴がある。これらは新しいIT技術で初めて実現できる。現在の4G技術では、約50ミリ秒の遅延があるが、これが5Gの時代では、1ミリ秒の遅延となる。そうなれば、自動車の自動運転も現実的なものになる」(ケン・フー氏)

同氏は次の時代では、クラウドが「デジタル脳」になり、ICTの中心として非常に大きな役割を果たすと説いた。

「インテリジェントな世界では、世界中のすべてのコンピュータが接続され、そこにはすべてが盛り込まれ、『デジタル脳』を形成する。この脳は独自で学習することもでき、常に進化している。そして、我々はいつでもそれを引き出して使うことができる」(ケン・フー氏)

同社は、これらの時代を「クラウド2.0」と位置づけているという。

「これまでクラウドは、人々の考え方やビジネスモデルも変化させ、GoogleやAmazonのような企業が生まれた。これらの企業の成功は多くの人に刺激を与え、企業はクラウドを活かして、ビジネスのデジタルトランスフォーメーションを起こそうと行動を始めている。GoogleやAmazonの時代を『クラウド1.0』とすれば、次の時代は『クラウド2.0』になる。我々の予測では、2025年までにすべての企業がクラウドを導入し、2025年までに企業アプリの85%はクラウドに置かれるようになる。これは大きな変革だ」(ケン・フー氏)

「クラウド1.0」で生まれた企業

2025年までに企業アプリの85%はクラウドに置かれるようになると予測

そして同氏は、クラウド2.0の時代に向け、企業はデジタルトランスフォーメーションを起こしていかなければないないとアドバイスし、次のように述べた。

「しかし、もっとも重要なことは、クラウド(雲)を実際の成果である雨にしていくことだ。企業はそれに向けて歩み出さなければならない。まずやるべきことは、情報技術の価値を見直すことだ。情報技術はこれまでは業務をサポートする技術であったが、今後は業務の核になる。新しい技術で企業の改革や行動を促し、今の業務を再構築することだ。変化を起こさなければ将来はない」(ケン・フー氏)

では、クラウド2.0の時代に向け、ファーウェイはどのような戦略を持っているのか? ケン・フー氏は3つの分野に注力すると述べた。

「我々はこれらの世界で使うことができるデバイスやクラウドのアーキテクチャを作ろうと努力している。すべてのものを感知する「Devices」、すべてのものつなげる「Pipe」、インテリジェントを提供する「Cloud」の3つを提供するのがファーウェイの戦略的な方向性だ。クラウド2.0の時代には、数万のクラウドが立ち上がってくるだろう。ファーウェイは、この新しい時代の後押し役になりたいと思っている。クラウドを中心とするイノベーティブな技術を提供し、クラウドのエコシステムに積極的に参入する。我々には、これまでの研究開発によって得られた技術力やお客様と一緒に築き上げてきた企業文化というアドバンテージがある」(ケン・フー氏)

クラウド2.0の時代に向け、ファーウェイは「Devices」「Pipe」「Cloud」の3つの分野に注力するとした

具体的には、次の3つの行動を起こすという。

1つ目は、革新的企業としてアドバンテージを貫くこと。2つ目は企業のニーズを理解し、顧客にとってのベストパートナーになること。そして3つ目の行動は、積極的にエコシステムの構築に努めていくことだという。

特に同社では今回のイベントで、クラウド2.0の時代にはファーウェイ1社で対応することは難しいため、エコシステム構築の重要性を強調している。ケン・フー氏は、その日に行われた記者会見で、パートナーの重要性を次のように表現した。

「我々には、数多くのパートナーがいる。これはドリームチームを作ったのと同じことだ」