尿検査は猫にとって最も診断価値が高い検査の一つです。尿検査だけで猫に多い腎臓病、糖尿病、尿路結石などを発見することができます。
しかし、猫の尿を取るのは意外と難しいです。キッチンのお玉を使って取る伝統的な方法が知られていますが、今回はもう少し簡単な方法を紹介します。
ウロキャッチャー
これは猫の尿を取るために開発されたアイテムです。動物病院又はネットで購入することができます。
このように排尿中に後ろからウロキャッチャーを構え、お尻の下にすべり込ませます。
スポンジ部分が黄色に染まるぐらい採取できれば尿検査可能です。
採尿シート
「猫 採尿シート」で検索すると、猫用の採尿シートが出てきます。こちらは、小さく切った採尿シートをトイレに入れ、尿を吸収したシートを回収し、絞って尿を採取して使います。また、ウロキャッチャーのように後ろから排尿中にすっとシートを入れて取ることもできます。
システムトイレ
システムトイレとは、猫砂(システムトイレ専用のもの)、すのこ、ペットシーツの3段構造になっているトイレです。猫がおしっこをした後、シーツを外すと、砂に吸収されず下のトレーにたまった尿をとることができます。
吸収しない猫砂
採尿用に、あえて尿を吸収しない猫砂というものがあります。Kit4Catという製品ですが、国内では販売されていません。ネットか動物病院から購入することができます。
また、システムトイレ用の砂は水分をあまり吸収しないので、そのまま普通のトイレで使っても尿を取ることができます。ただし、システムトイレの砂は大粒なので、日頃慣れていない猫は使ってくれないこともあります。
尿を取ってから病院へ行くまで
尿は室温に長時間放置と、酸化してしまったり細菌が増殖したりします。採尿後1時間以内に病院に持っていけない場合は冷蔵保存しましょう。冷蔵保存された尿の場合、6時間以内に病院に持っていくことができれば、通常の尿検査を行うことができます。
まとめ
尿検査はとても価値の高い検査ですが、尿を採らなくてはいけません。ウロキャッチャーやお玉はトイレ中の猫に近づかなければいけないので、警戒心の高い猫には難しいでしょう。
砂に吸収させない方法の場合は、いつも通り猫がおしっこをしてくれれば比較的簡単にできるでしょう。また、病院に行く日の朝に尿をするかは猫の気分次第です。トイレのタイミングが合わないという問題もあります。どうしても難しい場合は動物病院で採取してもらいましょう。
■著者プロフィール
山本宗伸
獣医師。猫の病院 Syu Syu CAT Clinic で副院長を務めた後、マンハッタン猫専門病院で研修を積み帰国。現在は猫専門動物病院 Tokyo Cat Specialistsの院長を務めている。ブログ nekopeidaも毎月更新中。