もう1つ使われているのが「ロッキーのテーマ」だ。これは終業時刻の18時になると流れるが、音楽が流れるとフロアのあちらこちらで社員が一斉に立ち上がり、部署ごとに簡単な業務報告を行う終礼が実施されているのだ。この時点で自分の業務が終わっていれば、報告して終業となる。
「以前から終礼を行うことになっていましたが、業務を中断するタイミングが掴めないまま実施されないという事がよくありました。その結果、自分の業務は終わっていても、伝えづらく残業をしてしまうような状態がありました。それがロッキーのテーマを流すようになってからは、きっかけが掴みやすくなったお陰で終礼が定着しました」と、高橋氏は導入効果を語る。
実際にフロアで聞いてみると、BGMの音量は意外と小さい。天井にBGM用のスピーカーを埋め込んでいるため、場所によって聞こえ方は多少違うが、スピーカーの近くでも電話中に音楽が邪魔にならない音量だ。それでも、音楽が鳴ればはっきりとわかるという。
「利用開始後しばらくしてアンケートを行ったところ、USENを導入したフロア南側では8割が終礼を行っていたのに対して、北側では3割程度しか実施されていませんでした。終礼が残業減につながっているかというアンケートでも、南側が9割以上つながっていると回答したのに対して、北側は5割強でした」と高橋氏は説明する。結果として、南側の残業時間は前年比15%減という効果が出たという。
このアンケートでは別途音楽を流すことの効果、印象などについても意見を聞いており、中には、音が気になる、効果があるのかわからないというような否定的な意見もあるが、「朝気持ちよく仕事がスタートできるようになった」、「業務中も心地よく仕事ができるようになった」というような回答が6割を超えるなど、概ね好評な結果となった。一方、導入していなかった北側でも5割以上がBGMの導入を希望したという。