トレンドマイクロは、ランサムウェアから重要データを保護する新機能を搭載した総合セキュリティソフトウェア「ウイルスバスター」新シリーズを、8月31日に発表した。本稿では、同時開催した発表会の内容を紹介していく。

まず登壇したのは、トレンドマイクロ取締役副社長の大三川彰彦氏。大三川氏は最初に、ここ数年のユーザー環境の変化について取り上げた。

トレンドマイクロ取締役副社長 大三川彰彦氏

コンシューマユーザー環境の変化

スマートフォンの普及、インターネット利用時間の拡大、SNSの普及――この3点が、この数年で変化のあった部分だ。誰しもがスマートフォンを持ち、平日や休日の区別なく24時間、インターネットを利用する。そして、国内でもユーザー数が6800万人を超えたというLINEを使い、メッセージを交換し合う。ごく当たり前にように思われるが、数年前と比較すると、大きな変化といえるだろう。

一方、インターネット脅威はどのように変化してきているか。大三川氏は、その1つにこの1年で7.2倍(前年同期比)に急増しているランサムウェアの被害の増加を挙げた。

モバイル環境に目を向けると、世界中で「ポケモンGO」が流行るとそれを悪用した不正アプリが1カ月で200以上検出されるなど、スマートフォンも攻撃対象となってきている。また、同社のクラウドインフラ「Trend Micro Smart Protection Network」によると、モバイル環境における不正サイトへの誘導が前年の1.5倍となっており、この点からもモバイルデバイスが明確な攻撃対象となっている様子がうかがわれる。

ランサムウェア被害の変化

スマートフォンを狙った攻撃

では、このような状況でセキュリティベンダとして、どのようなアプローチをすべきか? 大三川氏は、「データ保護」「モバイルユーザーへの訴求」「サポート提供機会の拡大」の3つを挙げた。

新しい3つのアプローチ

ランサムウェアに感染すると、多くの情報を失ってしまう。仕事のデータもあるかもしれないが、家族との写真、思い出のデータ、これらをいかにして守るかがポイントになる。モバイル環境では、PCほどの脅威がないといった誤解や、デバイス新規購入時にモバイルセキュリティがインストールされているから大丈夫といった誤解もある。

大三川氏は、最低限の機能で脅威に対抗するには不十分と指摘する。脅威啓発の強化、販売時点でのアドバイスなどを積極的に取り組んでいくとし、サポート提供機会の拡大では、サポート範囲の拡大やサポートサービスを紹介する場も広げていく予定という。