Apple Storeから「Store」がとれ、新たなフェーズに入った「Apple 表参道」。最新のiPhoneを体験できることは言うまでもないが、ここで、ほかにはないユニークなサービスが数多く提供されているのはご存知だろうか?
Apple 表参道でiPhoneを買うときに、au、ドコモ、ソフトバンクの各キャリアと契約が簡単に出来るのは、意外と知られていない。iPhone本体だけが販売されていると思っている人も多いようだが、買ったその日にキャリアと契約できる、正確に言うと利用キャリアを決定した上で購入ができるのだ。
Apple 表参道の一階にはiPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone SEがズラッとディスプレイされている。まずここで触ってみてからでも良い。契約キャリアがなんとなく決まっているなら、本人確認書類、支払いに必要なクレジットカードやキャッシュカード、印鑑があれば、大丈夫だろう(各キャリアのWebサイトなどで事前にチェックしておくのをおススメする)。
近くのスタッフに声をかけて、「こんにちは! iPhoneが欲しいんですけど初めて買います!!」と伝えよう。Apple 表参道では、各キャリアからの料金プラン情報をまとめたシステム「Plan Genius」が稼動しており、iPadを使って、購入希望者にとって最適なプランをササっと提案してくれる。
今回、モデルとしてご登場頂いた下平琴恵さんは、新規でauとの契約をご所望だ。すぐさまスタッフはPlan Geniusを起動し、下平さんのリクエストを伺いながらプランを提示していく。取材の時点で、Plan Geniusに登録されている新規の料金プランはなんと、2,016件! これは3キャリアあわせた数字ではあるのだが、正直、見た瞬間、クラっときた。しかし、auだけで1,056件あったのが、たちどころに、88件、22件、6件と範囲が狭められ、彼女にピッタリだと思われるプランは3件にまで絞り込まれた。提供されている料金プランの種類は、確かに眩暈がするような数ではあるが、電話の時間が短い、とか、パケットの使用量が多くなりそうとか、自分の使用スタイルがある程度まで想像できれば、実はそんなに迷うこともなく、理想のプランへと辿り着ける。これはApple 表参道ならではのサービスのひとつだ。
欲しいiPhoneのモデル、カラーも伝えよう。下平さんはiPhone SEをチョイス。カラーはローズゴールドをセレクトした。ホワイト×ピンクは上品コーデの鉄板だけど、iPhone SEはローズゴールドは、落ち着いた雰囲気で広い年代に受け入れられる色味かな、とお気に入りの様子。高級感があるのもいいですね、とも。在庫の状況は、スタッフが所持しているiPhoneからすぐ分かるようになっていて、接客中のスタッフとは別な在庫管理のスタッフが商品を運んできてくれる。「お待たせしない」のもApple 表参道の特徴なのだ。
プランと購入するiPhoneが決まったら、地下のキャリアとの契約用スペースへ案内される。MacBookから必要な情報を入力していくのみで、三枚綴りの用紙にあれやらこれやらを記入するプロセスはない。紙に書くのは、最後に、これこれこういう情報提供頂いて、こういう契約しましたのでご確認くださいという事項にサインする時だけである。
さて、まだまだ続くApple 表参道ならではのサービス紹介、続いては「パーソナルセットアップ」をピックアップしよう。これは、購入した製品を使い始める準備をアシストしてくれるというものだ。スタッフは、下平さんの手元へ購入したばかりのiPhone SEを運ぶと、開封とSIM挿入を促す。開封はともかく、SIMの挿入は、彼らがやってくれてもよさそうなものだが、逆にサービスを充実させる意味で、購入者に作業して頂いているようだ。そこには「初めての体験」を充分に堪能して頂きたいという想いがあるのだろう。続いて、iPhoneを起動してApple IDを取得/入力し、基本設定を行う手伝いをしてくれる。パスコードや、音声アシスタント「Siri」、指紋認証のセキュリティ機能「Touch ID」の設定もまとめてやってしまおう。
今回、下平さんはauと契約したので、KDDI、沖縄セルラーが提供する「auかんたん決済」(キャリア決済)が利用できる。これによって、App Store、Apple Music、iTunes、iBooksの支払いをauかんたん決済を通じて行えるようになるのだ。支払いの方法として、従来のクレジットカード、iTunesカード、iTunesコードに加え、4つ目の選択肢ができた。App Store、Apple Music、iTunes、iBooksにおいてキャリア決済に対応するのは、国内ではKDDIが初となる。利用に際しては、それぞれのサービスのアカウント設定画面で、支払い方法として「キャリア決済」を選択するだけで良いのだが、これも全部説明してくれた。キャリア決済は、通信料金に合算されるという形なので、クレジットカードがなくてもOKということになり、また、支払いを一本化できるというメリットがある。
そのほか、連絡先の移し替えや、Eメールアカウント、カレンダー、「iPhoneを探す」の設定をレクチャーしてくれるほか、アプリの見つけ方やデバイスのカスタマイズ方法を解説してくれる。ここで、下平さんから、ケースやアクセサリを探すのに便利なアプリはありますか? という質問が。間髪いれずに「Apple Store」アプリが便利ですよという返答があり、先ほどレクチャーしてもらったApple IDを入力して、早速、ダウンロードを始めた。
「Apple Store」アプリでは、Apple 表参道でのショッピングがとても楽になる。既に持っているApple製品の情報を元に、対応する製品をおススメしてくれるのだ。下平さんはiPhone SEを購入したので、その情報を元にケースなどが提示された。彼女は、「何故、アプリが私の買ったものが何だか知ってるの? 怖い」と思ったかもしれない、思わなかったかもしれない。ともあれ、安心して欲しい、からくりは先ほどから何回も出てきているApple IDにあって、それと結びついた購入履歴などを元に、個々のユーザーに対し情報を送っているのだ。Appleならではのセキュアなシステムを通じてレコメンドされるものなので、個人情報はぞんざいに扱われたりしない。プライバシーはちゃんと保護されているので怖がらなくても大丈夫だ。
下平さんはBeats by Dr.Dreの「solo2 ワイヤレス オンイヤーヘッドフォン」の購入を決めたようだが、そこで、「Apple Store」アプリを使うと、面白いサービスが受けられる。iPhoneのカメラからパッケージのバーコードを読み込ませ、ユーザー自身のiPhoneからクレジット決済できる「セルフチェックアウト」(クレジットカード登録済みのApple IDが必要。先述の「auかんたん決済」には非対応)が利用可能なのだ。
支払いに際しては、先ほどの在庫管理用に利用しているiPhoneからも行え、クレジットカード決済用のスロットが付いたカバーから、すぐに会計できるのだが、この機能を使うとスタッフに商品を渡さずにそのまま持って帰れるのである。もちろんハダカのままお店を出ても良いのだけれども、ショッパーをリクエストするのもOKだ。またスタッフは、持ち帰りやすいよう、一言、ショッパーを用意しましょうか?と声をかけてくれる。
Apple 表参道では、紹介してきたとおり、キャリアショップや量販店にはないサービスを提供している。小売店の多くは、商品を販売したら、大抵それで終わりであるが、Apple 表参道はそれ以上の役割を担う場所なのである。専門的なサポートが受けられるのはもちろんのこと、各種ワークショップやイベントも実施され、一種のコミュニティスペースとして機能するような空間を目指しているように感じられる面もある。
初めてiPhoneを買うのに際し、今回の下平さんのように、彼氏や友人に付き添って貰わず、一人で来店しても不安材料ゼロで済ませられるのもまた、Apple 表参道の魅力のひとつでもある。なお、ここまでApple 表参道、Apple 表参道と連呼してきたが、Appleはほかに、銀座、渋谷、仙台一番町、名古屋栄、心斎橋、福岡天神、全国6店舗を展開している。いずれも表参道と同様、同質のサービスを提供しているので、iPhone購入を決めたなら、お近くの実店舗に足を運んでみてはいかがだろう?