これまでにも数多くのダイエッターが、バナナやりんごなどのいわゆる「果物ダイエット」に挑戦してきているはずだ。もちろん、果物は健康にはよい食べ物だが、食べ過ぎや誤ったタイミングでの摂取はダイエットの"弊害"になることが、最新の研究で判明した。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」 によると、炭水化物がどのように消化されるかを理解すれば、効率的に果物を食べるタイミングがわかるという。
パーソナルトレーナーのカルム・メリー氏は「食べ物は燃料であり、特に炭水化物に関しては日々のエネルギー消費量に必要な分だけしか食べるべきではありません」と話す。
炭水化物は筋グリコーゲンもしくは肝グリコーゲンとして蓄えられる。筋グリコーゲンはでんぷん質食品の産生物で、肝グリコーゲンはフルクトース(果実由来の糖)の産生物である。そして、炭水化物は重要なエネルギー源であり、脳や筋肉の機能に必要なので、エネルギー消費量に応じて特定の時間に摂取すべきだという。
例えば「筋トレ後のバナナ」など、トレーニング後の果物は筋グリコーゲンを補給するために良いと思っている人もいるかもしれないが、これは誤解。実際には果物は肝グリコーゲンしか補給せず、筋グリコーゲンは補給されないのだ。
前述のようにグリコーゲンは筋肉のエネルギー源。トレーニング中に消費されてしまうのであれば、米やじゃがいものようなでんぷん質の多い炭水化物をトレーニング後には摂取する必要があるとのこと。
「私たちは、得られるエネルギーが最大限になるように果物を摂取することを望んでいます。そしてもっと重要なことは、フルクトースがエネルギーとして消費され、間違っても脂肪として体に蓄えられないようにすることです」とメリー氏は話す。
それでは、果物を食べるベストタイミングはいつなのだろうか。メリー氏は「朝起きてすぐ」と「トレーニングの15分前」と指摘。「午前中の活動やトレーニングをするための手軽なエネルギー源として使われます」と話す。
私たちが身体に脂肪として貯蔵できるカロリーの量は、ある意味で無限だ。そのため、一部の地域を除いて食料があふれている今日の社会では、深刻な肥満の危機がある。人々は「果物は身体に良い」と信じており、それは事実である。しかし、食べるタイミングを誤り、結果として脂肪が増えているとメリー氏は話している。
くれぐれも、「食べ物はエネルギーであり、身体がエネルギー消費を維持するのに必要な量しか摂取する必要はない」ということを肝に銘じておこう。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。