特別養子縁組の支援に携わっている認定NPO法人フローレンスら4団体は8月26日、「日本こども縁組協会」を設立。厚生労働省の記者クラブで開かれた会見で、フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「特別養子縁組を社会で当たり前のものに」と訴えた。
特別養子縁組とは、子どもの福祉を目的として、養父母を法律上の親とできる制度。厚生労働省の調査によれば、実の親が育てられないなど、社会的擁護下にいる子どもは約4万6,000人いるが、その大半は施設で暮らしている。一方で、特別養子縁組はわずか1%にとどまっている上、仲介については約4割(成立件数)を民間団体で担っているのが現状だ。
同協会は、フローレンス(認定NPO法人)、アクロスジャパン(一般社団法人)、ベビーライフ(一般社団法人)、環の会(NPO法人)の4つの民間団体が設立したもので、同制度を運営する上での法整備と認知拡大を目指している。
特別養子縁組の仲介については、民間団体が赤ちゃんと養父母をマッチングする際、実親に金銭を渡すなど、人身売買にもつながりかねないトラブルが起こっているとのこと。さらに良質な仲介を行っていても、政府からの援助がなく、ボランティアに近い形で運営せざるを得ない団体が多い。
フローレンスの駒崎代表理事は「特別養子縁組を後押しする法律は存在せず、民間団体を罰する仕組みも、許可する仕組みもない」として、現在、超党派で実現へ向け動いている「特別養子縁組あっせん法案」の成立を後押しするとした。
また、自治体によっては、特別養子縁組への認識が不足しているところもあることから、行政との連携も視野に入れているという。「予期せぬ妊娠」「望まない妊娠」など、困難な境遇にある女性の相談に乗り、さまざまな選択肢の中で特別養子縁組も提案していけるような体制作りも目標だ。
同協会では、シンポジウムやセミナー、インターネット上で情報提供をし、特別養子縁組の認知拡大も行う予定で、駒崎代表理事は「安定した養子縁組の制度を整え、社会で当たり前のインフラにしたい」と話している。