JR西日本は27日、米子市の後藤総合車両所にて「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の先頭車・中間車4両の外観を公開した。2017年春の運行開始に向け、後藤総合車両所で各種検査・試験を行った後、9月下旬頃をめどに試運転も予定されているという。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の先頭車・中間車4両が後藤総合車両所に到着した

今回公開された4両は、先頭車が「キイテ87-2」(1号車)・「キイテ87-1」(10号車)、中間車が「キサイネ86-101」(2号車)・「キサイネ86-1」(9号車)。8月15日に網干総合車両所宮原支所で先頭車の搬入、中間車との連結作業が行われ、その模様が報道公開されている。これら4両は8月26日に網干総合車両所宮原支所を出発。機関車に牽引され、一夜かけて米子へ走行し、27日朝に後藤総合車両所に到着した。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車体色は寝台特急「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継いだ「瑞風グリーン」だが、運行開始までは車体保護などを目的にラッピングが施されている。先頭車は展望デッキと5本のラインが特徴で、運転室を展望デッキの上部に配置し、往年のボンネット型車両をほうふつとさせる流線形の外観とした。丸目のヘッドライトを採用し、懐かしさも演出している。

後藤総合車両所で行われた「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の報道公開。JR西日本米子支社長の松岡俊宏氏が挨拶した

報道公開では、JR西日本米子支社長の松岡俊宏氏が挨拶した。展望車となる先頭の1・10号車について、「前面に展望デッキ、中に展望室があり、編成の最後尾となる車両では、デッキに出て走行中の風を感じられるのも特徴です。展望室は床が高くなっており、運転士と同じ目線の高さで前方の景色を見ることができます。車体側面の窓は天井まで回り込む曲面ガラスで、車内から空も見られるようになっています」と説明した。

同列車の旅は計5コース用意され、周遊タイプ(2泊3日)の山陽・山陰コース、片道タイプ(1泊2日)の山陰コース(上り・下り)では山陰本線を走行。途中駅での立寄り観光も予定されている。「乗車するお客さまに特別な鉄道の旅を楽しんでいただくのと同時に、沿線地域の魅力を情報発信し、活性化につなげていくこともこの列車の大きな目的となっています。鳥取・島根にゆかりのある伝統工芸品やアートを車内に展示し、地元シェフ監修のメニューを提供するなど、さまざまな面から山陰の魅力を発信すべく、地域の皆様と協力しながら準備を進めています。ご期待ください」と松岡氏は話していた。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」はハイブリッド方式(ディーゼル発電機で発電した電力とバッテリーアシストによるモータ駆動)の10両編成で運行される。年内には10両すべてそろう予定とされ、それまでは当面、今回公開された先頭車・中間車4両で、米子エリアから試運転を実施していくとのことだった。あわせて2017年春の運行開始に向け、乗務員や車内クルーの訓練も進めていく。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」先頭車・中間車の外観