8月24日より3日間、パシフィコ横浜で日本最大級のゲーム開発者会議「CEDEC 2016」が開催された。
CEDECは最新3Dグラフィックス技術や次世代ゲーム開発技術までを取り扱ったカンファレンス(CEDEC自体はコンピューターエンターテイメントデベロッパーズカンファレンスの略)。2016年は3日間で全210のセッションが行われ、年々その規模は拡大傾向にある。また、今年はVR元年とも言われる大きな節目の年と言われ、VR関連のセッションが数多く登場。メーカーブースではVRを体験できるコーナーもあった。
近年、ゲームの3Dモデリング制作に欠かせない存在として注目を集めているのが、3Dモデリングツール「ZBrush」(ズィーブラシ)。今回のCEDECにおいても業界トップのCGアーティストたちが「ZBrush」とペンタブレットを用いてデジタルモデリング技術を披露するセミナーがいくつも行われていた。
アナログ感覚で3Dモデルを作る
ペンタブレットの老舗、ワコムのブースでは「ZBrush」と連携し、液晶ペンタブレット「Cintiq 27 QHD」や「Cintiq 13HD」、OSを搭載した液晶ペンタブレット「Cintiq Companion 2」の製品を体験できるコーナーを展開。体験コーナーにはセッションを受講しに来た学生をはじめ、プロのCGアーティストもブースを訪れていたという。また、タブレットに興味はあるが普段触れる機会がないという初心者も足を止め、スタッフに質問している姿も見受けられた。
ワコムのブース担当者は、「最近はゲームに登場するクリーチャーやモンスター、巨大な構造物の制作においては、ZBrushとペンタブレットを組み合わせて利用するプロも多い」と話す。また、デジタルモデリングのメリットについて「デジタルの強みは2Dと3Dどちらでも出力できる点。3Dモデルを作っておけば、コンセプトイメージして2D出力もできるし、利用の幅は格段に広がる」と解説。そのほか、「ペンタブレットに関しては、どれだけ最短距離でモデルを作れるか、皆さんの意見を聞きながら開発を進めていきたい」と展望を述べていた。
実際に筆者も「Cintiq 27 QHD」を体験してみた。CPUとメモリを中心に動作するというZBrushは非常に快適に動作。また、ZBrushはオブジェを粘土でこねて作っていく感覚に似ており、右手で画面を直接タッチして向きを変えつつ、左手のタッチペンでオブジェを盛り上げていく作業は、まさにアナログ感覚。液晶ペンタブレットとの相性は良さそうだ。
ちなみに、別記事で紹介する「スカルプトマイスター2016」のセッションでは、ほぼすべてのCGアーティストがワコムの液晶タブレット「Cintiq 27 QHD」「Cintiq 13HD」を使用していた。こちらもぜひチェックしていただきたい。