刈谷市美術館(愛知県刈谷市)は9月17日~11月6日、「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」を開催する。同展は、シュールで批評精神に満ちたヘタウマ風のギャグ漫画を発表し、映像やアートのジャンルでも注目される現代の漫画家、しりあがり寿の展覧会となる。

《回るヤカン》2016年 (C)しりあがり寿

しりあがり寿氏(1958~)は、『弥次喜多 in DEEP』や朝日新聞に連載中の『地球防衛家のヒトビト』を始めとする漫画で知られている。文藝春秋漫画賞や手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞するなど評価を得ており、最近では東日本大震災後の日本をテーマにした漫画集『あの日からのマンガ』が話題となった。

「真夜中の弥次さん喜多さん(口絵)」原画 『真夜中の弥次さん喜多さん合本』2005年3月号掲載 (C)しりあがり寿

「地球防衛家のヒトビト」原画 朝日新聞 2002年4月1日掲載 (C)しりあがり寿

『真 ヒゲのOL藪内笹子』カバーイラスト原画 2003年 (C)しりあがり寿

漫画家として活躍する一方で、墨絵やアニメーションなどの手法を用い、自身の漫画と関連しながらもそれ自体で自律した現代美術作品も発表。また近年、さまざまなものを回転させる一連のインスタレーション作品も展開させている。

自身初の美術館での個展となる同展ではこれまでの多様な仕事に触れつつ、回転インスタレーションを中心に新作を展開する。さらに美術館隣の茶室では、室内を埋めつくす"墨絵インスタレーション"や"障子マンガ?"の新作も発表するという。

《まわる白昼夢》会場イメージ図 2016年 (C)しりあがり寿

《回るアトリエ》2014年@art space kimura ASK (C)しりあがり寿

墨絵インスタレーション《崩》(部分) 2015年 (C)しりあがり寿

絵画作品やジオラマ、日常品から映像まで、あらゆるものが回転する展示室で、「回転とは?、芸術とは?」を問いかける。「漫画家しりあがり寿」とは一味違う、新しい「しりあがり寿ワールド」が体感できる展覧会となっているとのこと。

会期は9月17日~11月6日で、開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。休館日は、月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)、9月20日、23日、10月11日、11月4日。観覧料(税込)は、一般900円、学生700円、中学生以下は無料。前売券は、一般700円、学生500円。なお、会期中には"障子マンガ?"の公開制作やグラフィックデザイナーの祖父江慎氏との対談など、イベントも充実している。詳細は同館Webページで確認できる。