先日、ある編集者が「原稿一式(テキスト+画像)をZIPで納品してもらうのは構わないけれど、出先で受信したときiPhoneでテキストだけ先にチェックしようとすると難儀するんだよね」と独りごちていた。出版業界では、原稿は純粋な文字だけではなく、写真やら表といった要素を別のファイルとして用意するため、それら一式をZIPなどのアーカイバで書庫化して受け渡しすることが常となっている。そこからテキストファイルを抜き出して閲覧する作業は、iPhoneでは手間がかかるのだ。
書庫ファイルは、受け取ったあとに展開(解凍)することがお約束。かつては専用ソフトを用意したものだが、WindowsやMacといったパソコンのOSでは、解凍機能を備えたファイルブラウザが標準装備されているため、ダブルクリックするだけでいい。しかし、iOSにファイルブラウザはなく、ファイル操作という概念も希薄なため、解凍してから取り出すことが難しい。
そこで利用するのが、書類の内容をプレビューする「Quick Look」。iOS 4の頃から存在する機能だが、メールに添付されたZIPファイルが対象となったのはiOS 7以降のこと。使いかたはかんたん、添付されたZIPファイルをタップするだけでいい。
このQuick Lookを使えば、ZIPファイルに含まれるテキストだけをプレビューできる。冒頭に挙げたような「テキスト+画像」のZIPファイルをQuick Lookすると、どこかに解凍したりせず、その場でテキスト(UTF-8やシフトJISに対応)だけを閲覧できるのだ。ZIPの内部構造をブラウズすれば、各種画像やオフィス文書(WordやExcel)などQuick Look可能なファイルをプレビューすることも可能だ。
ただし、なぜかQuick LookではプレビューできないZIPファイルもあり、その場合は延々と「読み込み中」の文字が表示される。残念ながら解決方法はないため、その場合は「GoodReader」などZIP展開機能を持つアプリに頼ろう。