携帯電話料金の低減を目的に、総務省はMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約者増に向けた後押しを進めている。大手携帯電話会社の通信事業にとっては痛手だが、NTTドコモの2016年度第1四半期決算は良好なものだった。同社が通信事業で好調をする秘密は何なのだろうか。
契約数増で収入もアップ
第1四半期の営業利益は、前年同期比で27.1%増の2,993億円と大きな伸びを見せた。営業利益の内訳は通信事業が2,704億円(前年同期比27.3%増)、スマートライフ領域が289億円(同25.7%増)と、どちらの事業も順調に伸びている。
通信事業については、スマートフォン販売の鈍化などが指摘されている中、ここまで伸びるのは少々意外にも感じられるが、通信分野の内訳を見てみると、モバイル通信領域での営業収入が348億円増と大きな伸びを見せている。
大幅増益の理由のひとつは、引き続き契約者数が伸びたこと、タブレットなどとの同時契約が増えたこと、解約率を低い水準に保持できたことなどが挙げられる。具体的な数字については明らかにされなかったが、MNP(ナンバーポータビリティ)は転出から転入に転じたという。過去、1年で100万契約以上を失っていたこともあったとは思えない改善ぶりだ。同社は長期割引も3大キャリアでは最も充実しており、長く使っていればいるほどユーザーが転出する理由がなくなりつつある。割引率を上げたことは短期的には減収につながるが、長い目で見れば「金のなる木」を長く手元に置いておけることになるわけだ。
また、固定回線とモバイル回線のバンドル販売の解禁による光通信サービス「ドコモ光」の収入も197億円と巨額だが、こちらはバンドル販売の初年度であり、既存の光回線ユーザーを多く取り込めたのが大きい。今後、固定回線が急伸するとは考え難いため、来年以降も大きく伸びるとは考えにくいが、光通信サービスではテレビ配信などのオプションによる売上の上積みが期待できるため、売上増には貢献するだろう。