JALは9月1日からの機内食で、資生堂パーラーと共同開発した「資生堂パーラー for Resort」を展開。第一弾には資生堂パーラーの人気メニュー「ビーフシチュー」や、資生堂パーラーの看板メニューである「チーズケーキ」のJAL機内食限定フレーバー等が登場する。どんなこだわりが詰まっているのか開発者に聞いてみた。

老舗の味を空の上で召し上がれ

創業114年の老舗西洋料理店の味を空で再現

今回の機内食「資生堂パーラー for Resort」は、成田/中部/関西発ホノルル行きのプレミアムエコノミーとエコノミークラスにて、1食目の食事として提供(羽田発は朝食メニューのため対象外)。提供期間は9月1日~2017年8月31日の1年間で、3カ月に1度、メニューが入れ替わる。両者がコラボレーションするのは、2012年12月にJAL国内線ファーストクラス導入5周年記念以来となる。

JALと資生堂パーラーのコラボは4年ぶり、2度目となる(左から、資生堂パーラーシェフ、資生堂パーラー鈴木真社長、JAL植木義晴社長)

植木社長と資生堂パーラーとのつながりは、もう半世紀近くにもなるよう

実はJALの植木義晴社長にとって、資生堂パーラーは父との思い出の料理であるとのこと。「個人的なお話をすると、子どもの頃、京都から東京に父親と訪れる時は必ず銀座の資生堂パーラーに行っていました。父親はいつも『ポタージュスープ』『ハヤシライス』を食べていて、『これが世界で一番おいしいんだ』と言っており、私も一緒に食べていました。資生堂パーラーとはもう半世紀近い付き合いがあります」(植木社長)。

今回のコラボは、JAL社内から希望する声が多数あり、JALの方から今年3月に打診したのがきっかけ。資生堂パーラーの鈴木真社長は、「JALの伝統と革新、おもてなしの心等、業界は違えど仕事以上につながりを感じています。特にホノルル線は他の路線よりも旅のわくわく感を多くの方々が抱いている路線ですし、われわれとしてもチャレンジしていきたいという想いがありました」と語った。

制限が多い機内食で食の本質を伝えることの難しさを前回のコラボで実感し、今回、どれだけレストランの味に近づけるか、量や盛り付けも含めて納得した味が出せないなら断るくらいの覚悟で挑んだという。「『エコノミークラスでもこんなにおいしい』を伝えられれば」(鈴木社長)と開発したメニューでは、奇をてらわない"西洋モダン機内食"がコンセプトになっており、創業114年の資生堂パーラーが誇る伝統の味を展開していく。

ゴロッと入ったビーフは下処理もしっかり

コラボ第一弾は9月という秋メニューであることも考えて、煮込み料理の「ビーフシチュー」が登場。資生堂パーラーのレシピを忠実に再現することにこだわり、上空という味覚が変わる環境でも味の濃さはさほど変えず、具材はやや多めに仕上げた。大きめにカットされたビーフがゴロゴロ入っており、じっくり煮込まれているため、すぐに口の中でとろけてしまう。

「資生堂パーラー for Resort」第一弾

資生堂パーラーのレストランでは年配の人でも食べやすいよう、ビーフシチューのビーフは油をそぎ落とす下処理をしてという。今回の機内食でも同様の下処理をすることで、濃厚でありながらしつこくない味わいとなっている。ビーフシチューの具はビーフの他、ニンジンやペコロス、マッシュルームが入っている。その側にはターメリックライスが添えられており、見た目の美しさにもこだわった。

「ビーフシチュー 資生堂パーラースタイル ターメリックライスを添えて」はとにかくビーフがゴロゴロ

カリッと焼いたベーコンを混ぜたキッシュは、想像以上に重量系。チェダーチーズがたっぷり詰まっており、一口で食べてしまったことを後悔してしまったほどだ。その横には、洋食店ならではの本格的なポテトサラダが添えられている。

「ベーコンキッシュ&ポテトサラダ」は、しっかりキッシュを味わっていただきたい

ここだけでしか味わえないフレーバー

注目なのは、デザートのチーズケーキ。ホノルルというリゾート路線ということを意識し、JAL機内食限定でのパイナップルフレーバー仕様となっている。濃厚なチーズケーキにパイナップルの甘みが加わり、「これ、お土産に買って帰れたらなぁ」と思ってしまうほど。今のところ、特に販売は考えていないようだが、ニーズがあるようなら販売も検討するとのこと。

「『資生堂パーラー for Resort』スペシャルフレーバー "パイナップル"のチーズケーキ」は、JAL機内食のために特別に開発された

第2弾では、「煮込みハンバーグ クリームソースをかけたオープンオムライスとともに」と「ベーコンキッシュ&ポティロンサラダ」を予定している。植木社長思い出の品である、ポタージュスープとハヤシライスは今後展開されるのか、注目したい。