霞が関の府省庁等が連携して、夏休みの子ども向けに業務説明や省内見学などを行う「子ども霞が関見学デー」。このほど開催されたその中から、財務省で行われた坂井学副大臣の"ミニ記者会見"の様子をお届けしよう。記者会見会場では、財務省の仕事について小さな記者たちからさまざまな質問がとび出した。

「子ども霞が関見学デー」として財務省で行われたミニ記者会見

――副大臣って子供の頃お小遣い帳ってつけてたんですか?

お小遣いをもらっていましたので、お小遣い帳をつけろと言われていてお小遣い帳も持っていました。一生懸命やりましたけど忘れることもありました。

――お金の発行って年間何円までとか決まっているんですか?

必要に応じて、お札を刷って出したり出さなかったり調整をしています。平成28年度(2016年度)の発行枚数は、お札30億枚(約15兆円分)、貨幣約10億枚(約2,000億円分)を計画しているということです。

――なんで一万円札って金(きん)じゃないんですか?

昔は金を使ってお金をつくっていました。昔の大判小判は日本銀行金融研究所貨幣博物館に飾ってありますので、見に行ってみてください。

金そのものが貴重なのでたくさんの日本人が使うには量が少なくなってきたということもありますし、かさばって重いということもありますし、いろんなことがあって金から紙になりました。昔は金でつくっていたので一万円のお金そのものに一万円の価値があったんですけど、今の社会では信用のもとに一万円を一万円として見て取り扱いましょうという約束で取引が行われています。

――日本の借金ってあと何年で返さなきゃいけないんですか?

日本の借金は基本的には国債というのを出すので、ゆくゆく国債を持っている人にお金を返していきます。ですのでその一つひとつを見ると、たとえば10年後にお金を返しますという国債を出してそれを買ってくれた人には10年後にちゃんとお支払いする、ということになります。こういった国債ごとの約束は5年だったり10年だったりします。

もっと大きな話で、日本の国・地方合わせて1,000兆円あるじゃないか、その借金はいつ返すんだということになりますと、いつ返すということは決まっていませんが、なるべく借金を大きくしない、今は借金の総額を増やさない状況をつくっていきたいということでがんばっています。

大きな借金ではありますが、1,000兆円に収まっていれば日本が破綻したりだとかインフレになって困ったことが起きたりだとかしていない経済状態がそのままですので、今の状態からなるべく増やさないようにしようというところを目標に、プライマリーバランス(国や地方自治体などの基礎的な財政収支)という言葉を使いながら一年ごとの借金の額をなくしていこうと努力しています。

子どもたちの質問に答える坂井学財務副大臣

――日本はいっぱい借金があるから、その分お金をつくっちゃえばいいんじゃないですか?

いいポイントだなと思います。厳密に言うと、お金は国ではなく日本銀行が出しています。みんながお互い「これをお金としてものと取り替えてくれる」という信用の上でお金が使えるのが今の社会なんですね。たとえば3つあるものと1つあるものだと、1つのほうが貴重であるように、お金をいっぱい刷っていっぱい出すと、お金の価値が下がります。インフレーションというのになって、どんどん物価が上がるようなことになってしまいます。お金は信用関係で成り立っているので、その信用がなくなってきちゃうんですね。そうするといろいろ困ったことが起きるんです。

でもお金の量を増やすというのは一つの正解で、今の日銀総裁で黒田東彦さんが就任した折も、いろんなことを目配りしながらですけど、お金を増やしたらいいんじゃないのかということを実際やって日本経済を少しだけよくしようとしたのは事実です。

――酒井副大臣って黒田さんと友達なんですか?

まだ残念ながら友達という関係にはなれてません。くだらない話はできるようになりましたけれども。早く友達になりたいです。

――TPPの取引について財務省も関わっているんですか?

車や車の部品は経済産業省、農産品は農林水産省がやっていますが、金融とか為替とかサービスの話では当然財務省も関わってくる部分があります。

――密輸入されたものはどうなるんですか?

財務省には海でも空でも関税局というのがあります。そこでそういったものをちゃんとチェックして密輸入しようとするものに関しては没収をします。昨年は密輸入が約1,900件もあったそうです。なかでも薬物が大変多くて薬物を没収した合計量が520kg以上にもなりました。500kg超えは5年連続で、大変深刻な問題になっています。みなさんもこういったものから遠ざかる生活を送ってほしいと思います

――没収したものはそのあとどうするんですか?

使えるものでも基本的には適切に処分します。

――財務省で働いている人は何人くらいですか?

財務省庁舎の中で働いている人は1,800人です。ちなみにこの建物は昭和18年(1943年)にできたものだそうです。戦争が終わったのが昭和20年(1945年)ですから戦争中にできた建物です。

そのほか国税庁の人や地方の税関で働いている人などを含めると7万1,000人だそうです。

――集めた税金はどういうところで保管しているんですか?

集めた税金自体は金融機関で保管していて、当然のことながら予算というもので使い方を決めます。11月の終わりから12月の半ば頃にかけて税金の議論をして、どのくらいのどういう税金を集めるかということを決めます。それで12月のクリスマスの頃に、これだけ来年集まりそうだからその集まったお金をどう使おうかというのを決めていきます。決めたかたちに沿ってお金が使われていくということになります。