大人にとっても難しい「税金」の話。子どもに聞かれたらどんなふうに説明すればいいのだろうか。国税庁がこのほど東京上野税務署で開催したイベント「子ども霞が関見学デー 税務署探検に出かけよう!」におじゃまして聞いてきた。

東京上野税務署で開催された「子ども霞が関見学デー 税務署探検に出かけよう!」

東京上野税務署の税務広報広聴官・植山和代さんが説明してくれた。


税金の使い方はどう決まる?

税金には住民税、所得税、消費税、法人税などいろいろなものがあり、日本には約50種類の税金があるといわれています。

消費税を例に、税金の流れを見ていきたいと思います。

みなさんがお店でお買い物をしたとき、商品代金といっしょに消費税を支払っていますね。でもその消費税はお店のものではありません。お店はみなさんから預かっているということになります。お店では、みなさんから預かった消費税が一年間分でどのくらいになるかというのを計算して、お店の場所のある税務署に申告をして納税をします。

消費税の流れ

税務署では、国の税金を集めるお仕事をしています。税金の計算の方法を教えたり、計算した内容が合っているのかどうか正しいのかどうか確認したりもしています。

税務署には金庫がないので、納められた税金は日本銀行に集められます。日本銀行では税金を国のお金として管理したり、お札を発行したり、他の銀行にお金を貸したりしています。

では、日本銀行に集められた税金はどうやって使われるのでしょうか。財務省が、いろんなところから意見を聞いて、何にいくら使うのか予算案をつくって、内閣というところに提出します。内閣ではもう一度この使い方でいいのかなという話し合いをして、その予算案を国会に提出します。国会では国会議員の人たちが、ほんとにこれでいいのかなという話し合いをして、じゃあこれで使いましょうということが決まって、初めて私たち国民みんなのために税金が使われるという流れになります。

国会議員がどういう人たちか知っていますか。国会議員は国民から選挙で選ばれた人たち、いわば国民の代表の人たちです。国会では税金の使い方の他にも税金をどうやって集めるか、いくらくらい集めるか、ということも決めています。国民の代表が決めたことというのは、私たち国民が決めたことと同じようなことです。みなさんも選挙に参加できるようになったときには、自分たちの代表をしっかりと選んでもらいたいと思います。

世界の消費税はどうなってる?

いま世界には約200の国や地域がありますが、その中で日本と同じように消費税がある国は150くらいの国や地域です。日本の消費税の税率って知っていますか? 8%ですね。

世界の消費税の税率

税率を見てみると、たとえばカナダは5%、スウェーデンは25%。このように国によって税率はまちまちですが、スウェーデンやノルウェーなどの北欧の国々は一般に福祉国家と言われています。病気になったり年をとったりして働けなくなった時には国がちゃんと面倒を見ます、という代わりに元気で働いているうちは高い税金を負担しましょうという考え方だそうです。スウェーデンでは医療費は無料、学費も大学まで無料となっているということです。

税金はどんなことに使われている?

では、日本では税金がどういうことに使われているか見ていきましょう。

図書館や公園など、多くの人たちが使う建物や施設を公共施設といいます。ゴミの処理やみなさんの安全を守る警察や消防、救急など公的機関が行っていることを公共サービスといいます。このような公共施設や公共サービスのいろいろなところに税金が使われています。

国は、みんなが病院にかかったり災害に遭ったりしたときに助けるためや、みんなが学校で勉強をするためなど国民全体に必要なこと、海外の人を助けるために税金を使います。都道府県や市町村といった地方は、自然環境の保護、警察や消防、救急、下水道や道路、公園の整備などその地域に住む人に欠かせない身近なことに税金を使っています。

たとえば学校で勉強するための年間教育費(2013年度/東京都)には、児童・生徒1人あたり、小学生で年間90万円、中学生114万円、高校生104万円の税金が使われています。

国や地方は、私たちが安心で安全な暮らしを送れるよう税金を使って、いろいろな公共施設をつくったり公共サービスを行ったりしています。税金がないと、国や地方はこういったことができなくなって、私たちの暮らしも成り立たなくなってしまいます。税金っていうのはみんなが互いに支えあってよりよい社会をつくっていくための会費のようなものだといえると思います。とても大切なことなので、日本国憲法で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と決められています。

みんなのためにみんなで出し合っている税金なので、その使い方にも注目してもらいたいと思います。