2016年8月11日(以下すべて米現地時間)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14901を、ファーストリングを選択したPCにリリースした。Anniversary Updateリリース後初のInsider Previewということで、OneCoreの構造的な改良に注力すると共に、エクスプローラーへ新たな通知機能を追加している。

OneCoreの改良とEducationエディション向け機能

日本時間の朝7時頃、OSビルド14091をリリースした旨を示す公式ブログを掲載したが、Microsoft WDG(Windows and Devices Group) ソフトウェアエンジニアのDona Sarkar氏は、「アップデートデバイスの目標を設定するため、ロールアウトまでに数時間を要する」と説明している。国内外の掲示板に目を通すと午前中に降ってきたという方もいれば、同日夕方の時点でもWindows Updateに変化がないという方もおられた。実際に筆者の環境では正午を過ぎてもWindows Updateに変化はなく、最終的にOSビルド14091への更新を確認したのは、翌日の13日午前中(日本時間)だった。

また、Redstone 1(開発コード名)では足並みをそろえていたWindows 10 Insider Preview/Windows 10 Mobile Insider Previewだが、今回リリースされたのはPC版のみ。この点についてSarkar氏は、Windows 10 Mobile Insider Previewに対応するデバイスの確認をうながしつつ、KB3176931を適したOSビルド14393.67の状態で待ってほしいと説明している。なお、Windows 10 Mobile Insider Previewの新ビルドは数週間後にリリースされる予定だ。

さて、OSビルド14091は各Windowsデバイスに共通するカーネル=OneCoreに構造的な改良を加えることを主目的としている。この辺りは毎週寄稿しているレポート記事にまとめたので、そちらをご覧頂きたい。基本的にはAnniversary Updateとなった最初のWindows 10 Insider Preview ビルド11082と同じく、基礎となる土台の作り直しを終えてから、さまざまな新機能を追加していくのだろう……OSビルド14091を目にするまでは、そう考えていた。だが、Windows Insider Engineering teamは、Windows 10の中でも重要な位置にあるエクスプローラーに新たな通知機能を本ビルドで追加している。

Windows 10 Educationエディションは、エクスプローラーのクイックアクセスに情報提示を行う項目が実験的に追加されている(公式ブログより抜粋)

それは、クイックアクセスを選択した際のフォルダーウィンドウ内に通知エリアを設けるというものだ。MicrosoftはWindows 10によるUX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させるため、情報や新機能について素早く提供し、利用者を支援するために設計しているという。

ただし、本機能についてMicrosoftは「教育系顧客」という名称を使っていることから、Windows 10 Education向けの機能ではないかと推測する。ProエディションのOSビルドを14091へ更新し、数時間ほど使った時点では表示を確認できなかった。そもそも、エクスプローラーの表示領域が狭まることについて喜ぶ利用者がいるとは考えにくい。あくまでも"新しい方法を探るための一部"という説明にあるとおり、教育現場でWindows 10を使用する場合、利用者や指導側がWindowsの操作について精通しているとはいえない。Microsoftが掲載したスクリーンショットはAnniversary Updateに関する通知だが、Windows 10の機能やTipsを提示する実験的側面を強く持つ機能なのだろう。

なお、本機能は<表示>タブから開くフォルダーオプションダイアログの<同期プロバイダーの通知を表示する>のチェックを外せば無効にできる。

フォルダーオプションダイアログの<表示>タブに加わった新項目<同期プロバイダーの通知を表示する>

最後に、本ビルドにおける既知の問題だが、FireWire(IEEE 1394)経由のカーネルデバッグ機能を削除し、Adobe Acrobat Readerを起動するとクラッシュする問題が確認されている。前者に関しては別の公式ブログで詳しい説明が行われており、Microsoft Kernel Debug Network Adapterドライバーを利用してカーネルデバッグを行うKDNETは引き続きサポートされている。そのため本ビルドでFireWire経由のカーネルデバッグを必要とする開発者は古いWindows 10の「%SystemRoot%\System32\kd1394.dll」(もしくは、C:\Windows.old\Windows\system32\kd1394.dll)を「%SystemRoot%\System32」フォルダーにコピーし、「bcdedit -set {dbgsettings} debugtype 1394」「bcdedit -set {dbgsettings} channel (チャンネル番号)」を実行してPCを再起動すれば使用できるそうだ。

Adobe Acrobat Reader DCを新たにインストールしてみたが、筆者の環境では問題なく動作した

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第62回) - どこまで進む!? ビルド14390、そしてビルド14393が登場
http://news.mynavi.jp/articles/2016/07/19/windows10/
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