排泄物(はいせつぶつ)の色は、医薬品の服用によっても変わる

私たちの体は通常、必ずと言っていいほど大なり小なり排泄(はいせつ)を毎日している。その排泄物の「色」は食べ物やサプリメント、着色料の摂取、医薬品の服用によって変わり、大病の兆候を示していることもある事実をご存じだろうか。

排泄物の色をよく観察し、医者の診察が必要か否かを自分で見極めようという考え方がこのほど、海外のさまざまなニュースを紹介する「LiveScience」にて紹介された。

尿の色は、ビートの根やビタミンサプリメントなどの摂取によって変わることがある。そのため、食べたものが明らかに原因とわかるようならば、問題はないと考えられる。ただもしも、継続して尿が赤いのであれば、失血、感染症、前立腺肥大、ガン、包嚢(ほうのう)、腎臓結石の可能性があるという。長距離走った後も血尿が出ることもあるが、ビートの根を食べていないのに血尿が出るようならば、医者の診察を受けるべきだ。

健康であれば本来、尿の色は麦わら色。シロップか糖蜜の色のような尿であれば、検査が必要だ。かなりの脱水症状か肝炎や肝硬変のような肝疾患かもしれない。紫色の尿はめったに見ないが、病院関係者は感染症や合併症の患者で見る機会があるとのこと。尿に泡が出る際は、腎臓病であればたんぱく質が尿に交じっている可能性もあるので、医者の診察を受けた方がよいだろう。

大便は通常、薄い黄色や茶色、黒色をしている。もしも黄色で脂ぎっており、臭いがひどく、同時に体重の減少(大人)や遅い成長(子ども)が確認されるようであれば、消化器系の感染症の疑いもあるという。

真っ黒の場合、胃や腸上部での出血という深刻な状態に陥っているかもしれないし、あるいは鉄分のサプリメントの過剰摂取による無害の副作用かもしれない。赤色のときは、赤い着色料を含んだ食べ物を多く摂取したことが原因かもしれないが、腸下部や痔疾での出血の可能性もあるという。

排泄物は、自身の体調を自ら確認できる貴重な存在だ。できる限り毎日"観察"し、何も変わった食べ物を摂取していないのにその色が通常時とは異なるようならば、医療機関を受診してみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。