KDDIは2日、2017年3月期 第1四半期 決算説明会を開催。業績面では営業利益2,751億円で、前年同期比で増収増益となることが報告された。プレゼンおよび囲み取材では、改めて格安SIMサービスの脅威について言及があった。KDDIでは、UQ mobileのサービス展開に期待をかけているようだ。本稿で紹介していく。
Y!mobileのいいところをキャッチアップ
登壇したKDDIの田中孝司社長は、そのプレゼンの中でUQ mobileの取り組みについて触れた。KDDIの決算説明会において、UQ mobileの施策が紹介されたのは今回が初めてとのことだ。UQ mobileは、KDDI傘下のUQコミュニケーションズが展開する格安SIMサービスのこと。KDDIでは、UQ mobileに何を期待しているのだろうか。
その背景を説明するため、まずは市場の現況を紹介しておこう。モバイル市場を取り巻く環境は目まぐるしく変化している。総務省からの提言もあり、ひと昔前に比べると、大手3キャリア間の流動はほとんどなくなった。一方で大手キャリアから格安SIMサービスへの顧客流出が、現在の大きな流れとなりつつある。
田中社長は、KDDIの現状について「通信事業者の利益は、ID(ユーザー数)×ARPA(利用者ひとり当たりの月間売上)で決まる。数と売上が会社の成長に直結する。いまMNOとしての成長は厳しくなりつつある。そこでauとしては何をすべきか。まずIDが流出しないようにしたい。やらなければいけないのは、auで良かった、と思ってもらえるようなプログラムを充実させること。au STARなど長期利用者を優遇する施策も打っていく」と説明。
そして、格安SIMサービスに顧客が流出することについては「流出先がUQ mobileならまだ良い。auの回線を使うUQ mobileなら、再びauに戻ってくれる可能性もある。ネットワーク回線の使用料という形で我々の収入にもなる」と説明した。つまり顧客流出の受け皿として、UQ mobileに期待をかけている。
ちなみに、auユーザーの流出先のひとつはY!mobileだという。Y!mobileは、ソフトバンクモバイルが第2のブランドとして展開している。auではUQ mobileを、Y!mobileのような存在にしていきたいのだろうか。田中社長は「Y!mobileの良いところは、我々としてもキャッチアップしていきたい。それプラスアルファで、SNSのパケット使用量がチャージされないなど、独自のサービスを乗せていく。UQ mobileでは端末のラインナップも揃いつつある。これから積極的なキャンペーンを打っていきたい」との考え方を示した。