老後破産しないためのマイホーム購入のポイントは?

子育て世帯にとって、大きな支出となる住居費。家族のライフプランを計画し、教育費をはじめとした他の支出を考慮しなければ、老後資金を用意できない事態となってしまうかもしれません。そこで今回は、老後破産しないためのマイホーム購入のポイントを紹介します。

特に気をつけるべきは「教育費」

子育て世帯の3大支出は「教育費」「住居費」「老後資金」。この3つをいかに効率よく準備し、いかに賢く使うかによって、人生の質が大きく変わります。

そこで特に注意したいのが、教育費なのです。60歳でマイホームのローンの支払いが終了すると想定すると、住居費や生活費の支出は定年までほぼ一定。しかし教育費の支出は、子どもが小学校から大学へと進学するにつれて、どんどん増えていきます。

教育費は年々増えていく

では教育費は、いったいいくらかかるのでしょう。文部科学省の調査をもとに試算すると、小学校から大学まで国公立に通った場合は約680万円、全て私立に通った場合には約2,050万円(理系大学を想定)と3倍ほどの開きがあることが分かります。

晩婚化・晩産化の影響から、教育費が退職ギリギリまでかかることも多いでしょう。その結果、老後資金を用意しきれないうちに定年を迎えてしまう世帯も増えてきています。ですから、教育費がいくらかかるのか、メドを立てた上で、マイホーム計画を考えることが必要になるのです。

失敗しないマイホーム購入のポイント

教育費のメドがたったら、具体的にマイホーム購入の計画を立てていきましょう。その際、重要なポイントは以下の3つです。

1.現在の家計を基準に物件を選ばない

物件選びの基準としては、「今払っている家賃で、ローンと固定資産税が払えるかどうか」ということがよく言われます。しかし、子どもが小さいうちに物件購入する際、現在の家計を基準にしてしまうと、将来的にローン返済が苦しくなるのは目に見えています。これからどんどん教育費がかさんでくるからです。

昔のように、給料が右肩上がりで増えるのが当たり前だった時代ではないので、年齢と共に増えていく教育費も念頭に置いて物件を選びましょう。せめて、退職金でローンを精算できる程度の身の丈にあったものにすべきです。

2.駅近で利便性のよい立地にある手頃な大きさの物件を

個々の家庭の価値観によって、一概に言えない部分ではありますが、できることなら駅に近く、利便性のよい物件を選ぶと安心です。少子化や生き方の多様化により、購入したマイホームにずっと住み続けるかどうか、分からない社会になってきています。もし思いがけず、住み替えをすることになっても、便利な立地にある手頃な大きさの物件であれば、賃貸に出すことができます。

3.ローンは「元利均等方式」ではなく「元金均等方式」が効率的

ローンの組み方には2通りあります。「元利均等方式」は、毎月の返済額が全期間一定で分かりやすいものの、当初の返済は利息部分が多くなります。これに対して「元金均等方式」は、当初、毎月の返済額は多いものの、期間の経過とともに減っていき、元金が早く減るのが特徴です。

「元金均等方式」であれば、返済額は年々減っていき、返済総額も少なくて済む

この特徴を考えると、私は「元金均等方式」をオススメしたいと思います。なぜなら、教育費の支出が多くなってきた頃に、月々の返済額を低く抑えて、家計の支出のバランスをとることができるからです。また、返済途中で物件を手放す事態になったとしても、こちらの方式のほうが元金の減りが早いので、結果として売却額とローン残高の相殺をした場合、戻り金が多くなるメリットもあります。「元利均等方式」と比べると、返済総額が少なくて済むのも魅力です。

マイホームは人生で最も高い買い物と言えるだけに、選択を間違えると家計に大きく影響します。住宅ローンの低金利や、優遇制度、消費税10%延期といったニュースを考慮しつつも、家族で「教育費」についても確認しましょう。そして、家計にも優しい理想の住まいを選んでくださいね。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。