日本銀行は7月28~29日に開催した金融政策決定会合において、追加の金融緩和策として、ETF(上場投資信託)の買い入れ額を現行の年間約3.3兆円から約6兆円へ増額することを、賛成7、反対2の賛成多数で決定した。国債買い入れ額の増額とマイナス金利のさらなる引き下げは見送った。

米ドル特則 実務のイメージ(出典:日本銀行Webサイト)

次回会合で金融緩和の効果を総括的に検証

資金供給量(マネタリーベース)を年間80兆円規模に増やす方針の継続を、賛成8人、反対1人の賛成多数で決定。また、企業の海外展開を支援するため、最長4年の米ドル資金を日本の金融機関経由で供給する制度の総枠を現行の120億ドルから240億ドル(約2.5兆円)に倍増すると同時に、同制度の担保となる国債を日銀当座預金を見合いとして貸し付ける制度を新設する措置も決めた。

さらに、次回の会合で、マイナス金利政策を含む現在の金融緩和策の効果を総括的に検証することも決定した。

日銀の黒田総裁は同日午後に開かれた記者会見で、「海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場で不安定な動きが続いている、こうした不確実性が家計や企業のコンフィデンスの悪化を防止するとともに、前向きな経済活動をサポートするため、今回の追加緩和を決定した」と述べた。

マイナス金利や量的な金融緩和が限界にきているのではないかとの質問に対しては、「限界にきているとは考えていない。マイナス金利については、市場に受け入れられてマーケットとしても上手く機能するようになっている。金利の引き下げ効果は大きい。既に金融資本市場だけでなく実体経済にもプラスの影響を及ぼしつつある。まだマイナス金利を深堀りしていく余地はある」と話し、 量的緩和についても、「国債の3分の2がまだ市場にある。量的な限界に来ているとは全く思っていない」と述べた。