第一生命経済研究所はこのほど、「子どもがいる正社員の休暇に対する意識調査」の結果を発表した。調査は2015年11月、民間企業で正社員として働いており、かつ大学生(短大、専門学校、大学院を含む)までの子どもがいる20~59歳男女1,400人を対象にインターネットで行われた。
有給休暇の取得率は平均50.5%
年次有給休暇の取得率(2014年度に付与された日数に占める取得日数の割合)は全体平均で50.5%。性別では男性43.6%、女性54.3%だった。男女ともに30人以上の企業からは企業規模が大きいほど取得率が高い。役職別では、一般社員よりも管理職(課長以上)の方が取得率が低く、職種別では技術系専門職(設計、研究開発、プログラマーなど)と事務(総務、経理、企画、編集など)が取得率が比較的高い。
末子の学齢別では、取得率が最も高い時期が男女で異なり、女性は末子が「幼稚園・保育園」、男性は「大学生」。女性は末子が「幼稚園・保育園」から「中学生」までが取得率が高く、「高校生」になると低下している。男性は末子が「中学生」で最も低いが、これ以外は「大学生」までほぼ横ばいで末子の学齢による変化はあまり大きくない。
有給休暇の取得理由は?
年次有給休暇を取得した人に、取得した理由をたずねた結果をみると、全体では「家族 との旅行・レジャー」(56.6%)が最多。次いで「子どもの学校行事(授業参観やPTA活動など)」(51.1%)、「自分の病気・けがの療養、通院」(35.9%)、「子どもの病気・けがの看病、通院」(28.6%)、「自分の休養・リフレッシュ」(26.6%)、「銀行や役所への届け出など」(19.4%)、「家族とゆっくり過ごした」(15.8%)と続いている。女性は特に、年次有給休暇を子どもの学校行事のために利用している人が多い。
有給休暇取得にためらいを感じる理由、感じない理由
有給休暇を取得することにためらいを感じるかをたずねた結果、全体の約6割が「ためらいを感じる」(「ためらいを感じる」と「ややためらいを感じる」の合計、以下同じ)と回答している。
性別では男性よりも女性の方が「ためらいを感じる」の回答者が多い。女性の方が男性よりも取得率は高いが、ためらいを感じながら取得している人が多いようだ。他方、企業規模別では、取得率が低い傾向にあった小規模企業ほど「ためらいを感じる」人の割合が高い。
「ためらいを感じる」と回答した人にその理由をたずねた結果、全体では「休むと職場の他の人に迷惑がかかるから」(54.2%)が最多となった。
次いで、「休むと後で忙しくなるから」(30.8%)、「職場の周囲の人の目が気になるから」(30.2%)、「家族の病気や急な用事のために残しておく必要があるから」(19.8%)、「職場の周囲の人がほとんど有給休暇をとらないから」(18.2%)、「上司がほとんど有給休暇をとらないから」(16.3%)、「自分の病気や急な用事のために残しておく必要があるから」(14.5%)、「昇格や査定への影響が心配だから」(11.7%)、「上司が、部下の有給休暇の取得を嫌がるから」(11.0%)、「職場の上司が、有給休暇の取得を嫌がるから」(3.8%)と続く。
有給休暇を取得することに「ためらいを感じない」と回答した人に、その理由をたずね たところ、「自分のペースで仕事を進めることができるから」が最も多く43.7%。
次いで「職場の他の人と仕事の調整・分担ができているから」(41.8%)、「自分が休んでも他の人の仕事に影響が生じないから」(33.2%)、「職場の周囲の人も休暇を取得しているから」(28.2%)、「休むことは当然の権利だと思っているから」(25.3%)、「有給休暇を取得しても人事評価に影響を及ぼさないから」(15.3%)、「上司も休暇を取得しているから」(14.5%)、「日ごろから会社(上司)が休暇を取得するように促しているから」(13.9%)、「有給休暇を取得する時期及び日数を会社から決められているから」(11.8%)、「職場内で計画的に休暇のスケジュールを決めているから」(10.3%)と続く。
有給休暇を取得しやすくすることの「メリットは特にない」と回答した人は全体の15.9% で、8割以上の人は有給休暇を取得しやすくすることが従業員や会社にメリットがあることを認識。有給休暇の取得促進の取組は、従業員の健康、生産性向上、両立支援に寄与することを約4割の人が認めている。