こんにちは! 広告写真家の熊谷直夫です。前回は、写真構図の基礎として「三分割構図」「日の丸構図」「対角線構図」「直線構図」「三角構図」の5つを解説しましたが、今回はその続き。さらに5つの構図法を紹介しましょう。
曲線構図
今回まず取り上げるのは「曲線構図」。これは、画面内に「S」字型や「C」字型を作り出すことで、優美さや穏やかさ、やわらかさなどを感じさせる構図のこと。見る人の視線を曲線に沿って誘導して、被写体によっては奥行きや躍動感を演出する効果もあります。
フレーム構図
続いて「フレーム構図」。風景を額縁に入れて飾るように、周辺部に窓枠や樹木、門などを写し込んだ構図です。「額縁構図」とか「トンネル構図」と呼ばれることもあります。視線を導いて、額の中の被写体を強調したり、一歩引いた視点で風景を客観視させる働きがあります。
放射線構図
次は「放射線構図」。画面内の1点から、複数の線が放射状に伸びていくような構図です。広がりや開放感を強調したり、放射線に沿って動きやスピード感、迫力を表現したりできます。見た目にインパクトがあり、写真栄えのするカタチです。
シンメトリー構図
そして「シンメトリー構図」。これは、左右または上下が対称になる被写体のかたちを崩さずに、画面上でも対称になるように捉えた構図です。バランスがよく感じられ、安定感や統一感、静寂、神秘性などを強調できます。
パターン構図
最後は「パターン構図」。一定の規則に沿って、同じ形のものが繰り返し写っている構図です。造形の面白さや色彩の美しさ、リズム感などを表現できます。パターンの中に新鮮さや驚きを込めて、見る人の興味を引き付けましょう。
構図法が腕に染みるまで
以上の10種類の構図法を頭に入れておくと、きっと役立つことがあるでしょう。撮影時だけなく、プロや上級者が撮った写真を鑑賞するときに、どの構図法に当てはまるか分析しながら見ると、自分の腕の上達にもつながるはずです。
ただ実は私自身、こうした構図法をいつも考えながら撮っているわけではありません。長年撮り続けていると、カメラを構えた瞬間に、ここではこんな構図が似合う、こんな構図なら主題が引き立つ、ということが直感的にわかるようになるもの。無意識のうちに、構図を決めているとも言えます。
また、これら10種類の基本構図には当てはまらなくても、写真的に見栄えがするケースもあります。構図法は、迷ったときの目安として有効な手段ですが、それにとらわれすぎず、臨機応変に対応することも大切です。
次回は、ポートレート撮影のコツを解説しましょう。