「これは!」と感じさせられたソリューションをピックアップ

ここからは、イベント会場で筆者のアンテナに「ビビビッ!」と感じさせてくれたソリューションを紹介していこう。 まず紹介したいのが、"五感"をテーマに出展していた富士通ブースの「食のおもてなしチャーム」だ。食のグローバル化を実現したいと開発されているそれは、富士通社内外のメンバーらによって行われたハッカソン「FUJIHACK 2015」で誕生したアイデアなのだという。ユーザーがスマートデバイス上に専用アプリをインストールし、バーコードをカメラで読み込ませ注意すべき成分を表示、原材料やその商品の概要情報や口コミを表示してくれるというもの。昨今トレンドワードとして巷を賑わせている“ハラール”など、宗教上の理由によって食せない食べ物が一目瞭然になり、外国人が抱える食に対する不安を取り除いてくれるという。

日本語に不慣れな外国人にも、ムスリムはもちろん食物アレルギーを持つ人にとっても役立つこと間違いなしの「食のおもてなしチャーム」。ハッカソンから生まれたこのアイデア、一日も早く世に登場してもらいたい

続いては、アントラムブースで出展されていた「タッチカード」。特殊な印刷が施されたカードをスマートフォンの画面に触れさせることで、見せたいWebサイトをダイレクトに表示させるというもの。カードを収集するというコレクター魂を刺激しながら、ユーザーのニーズを満たすことができるソリューションは非常に面白いと感じさせてくれた。また、導入に関してもカードの制作、既存のWebサイトにカードを読み取るコードを埋め込むだけで良いと、導入までの障壁の低さは高いポイントとなるだろう。カードに対応したコンテンツ(Webサイト)を用意する、という一連の流れは、何も訪日外国人に限らず、我々日本人でもアイデア次第で面白い広がりを見せてくれるのではないかと期待してしまう。

アントラムの「タッチカード」。スマホにカードをタッチするという能動的なアクションに加え、事実上無限に用意可能なカードデザインでユーザーをもてなすというアイデアは、訪日外国人のみならず日本人でも楽しめるサービスを提供できそう

まず、専用のコードが記述されたWebサイトを表示しておき、カードを画面にタッチ。すると、目的のWebサイトがダイレクトで表示できる。仕組みが単純だからこそ、アイデア次第で活用の幅が広がるのではないだろうか

2020年に向け、インバウンド向けソリューションは今後も様々な進化を遂げる

さて、駆け足ではあるが、「インバウンド・ジャパン 2016」で注目に値するトピック、ソリューションを紹介してきた。各社ともに、訪日外国人が抱えている問題やニーズを的確に捉え、それに対応したものを投入してきていたが、「外国人をもてなす心」という本質が活かされたものばかりだったのではないだろうか。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京五輪と国を挙げたビッグイベントが控えたなか、これからどのようなかたちでICTを活用したソリューションが世に登場するのか目が離せそうにない。