円高傾向の今、夏休みは海外旅行、と考えている人も多いでしょう。旅先での支払いはクレジットカードで決済するのが一般的ですが、安全性や使い過ぎを防ぐために、海外専用プリペイドカードを利用する人も増えてきました。代表的なプリペイドカードの特徴を見ていきましょう。

海外旅行にはプリペイドカードがおすすめ!

現地通貨を引き出すことも可能

海外でクレジットカードを利用する際に、一番心配なのがスキミングなどの被害でしょう。更に治安に不安がある地域への渡航では、盗難の心配もあります。クレジットカードは便利ではありますが、万一のことを考えると、使い方には注意が必要でしょう。

海外専用プリペイドカードは、日本国内であらかじめチャージして、その残高の範囲内で利用するもの。使い方はクレジットカードとほぼ同じで、買い物の際にサインや暗証番号を入力すれば、即時決済されます。あらかじめ、メールアドレスなどを登録しておけば、利用時にメールで使用履歴が届くサービスもありますので、不正使用のチェックも可能です。さらに、紛失や盗難などの被害に遭った場合、損失は残額までで済み、残額補償をするところもあります。

また、現地通貨を現地のATMで引き出すことも可能で、その際の為替コストは4%程度かかりますが、多額の現金を持ち歩くリスクを考えれば、必要なときに必要なだけ引き出す、という使い方ができるのは安心でしょう。

与信審査がなく、子供に持たせることもできる

海外専用プリペイドカードは与信審査がないため、クレジットカードを作れない高校生や大学生の子供に持たせるのも有効です。入金した額以上は使えないので、使いすぎを防ぐこともでき、親が管理しやすいといえるでしょう。短期留学などの場合、残高がなくなれば、日本にいる親がネットバンキングなどから追加で入金することができるので、海外送金など手間をかけることもなくなります。

また、帰国後、残高がある場合、払戻手数料が500円かかりますが、円で戻すことができます。ただ、プリペイドカードは一度作れば、有効期限がないので、年に1度海外に行く、というような人は、そのままにしておき、次回、海外で使うこともできます。

主なカードはこの3種! 違いはチャージ通貨

主な海外専用プリペイドカードには、「キャッシュパスポート」「マネパカード」「ネオマネー」の3つがあります。

いずれも与信審査がなく、入会金も無料です。前者2つのカードは日本円以外にも、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドルなど複数の通貨をチャージすることができます。使う通貨が決まっているなら、入金時の為替レートで固定されるため、為替相場によっては、お得に使うことができますが、入金時に所定の手数料がかかります。

為替レートにこだわらず、日本円のみでチャージしておき、必要に応じて現地通貨を引き出せばいい、決済できればいいと考えるなら、シンプルな「ネオマネー」がいいでしょう。

【キャッシュパスポート】

●年齢制限:なし
●会費:1年間に取り引きがない場合は、13カ月目から1カ月150円
●チャージする際の手数料:当日のレート+入金額の1%
●チャージできる通貨:日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル
●海外ショッピング決済の手数料:現地通貨の残高があれば無料。現地通貨の残高がなければ、マスターカードの決済レート×4%
●現地ATM手数料:現地通貨の残高があれば、ATM引き出し手数料のみ。現地通貨の残高がなければ、マスターカードの決済レート×4%+ATM引き出し手数料
●払戻手数料:500円

【マネパカード】

●年齢制限:15歳以上
●会費:無料
●チャージする際の手数料:無料。FX口座からの外貨受入の場合は、1通貨あたり0.004通貨
●チャージできる通貨:日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル
●海外ショッピング決済の手数料:現地通貨の残高があれば無料。現地通貨の残高がなければ、クロスボーダー手数料3%
●現地ATM手数料:現地通貨の残高があれば、ATM引き出し手数料のみ。現地通貨の残高がなければ、クロスボーダー手数料3%+ATM引き出し手数料
●払戻手数料:500円

【ネオマネー】

●年齢制限:13歳以上
●会費:無料
●チャージする際の手数料:無料
●チャージできる通貨:日本円
●海外ショッピング決済の手数料:VISAの決済レート×4%
●現地ATM手数料:VISAの決済レート×4%+ATM引き出し手数料
●払戻手数料:500円


伊藤加奈子
マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。