国境なき医師団日本はこのほど、「終活と遺贈に関する意識調査2016」の結果を発表した。調査は6月3日~8日、15歳~69歳の男女を対象にインターネットリサーチにて行われ、1,000名の有効サンプルを得た。

エンディングノートには「大切な人へのメッセージ」を

はじめに、「終活」に関する意識として、「エンディングノートを作成すること」に対する気持ちを聞いたところ、9割近くの人が「準備をしておくことが大事だ」と感じていることがわかった。

「エンディングノートに書いておきたいこと」

そこで、エンディングノートを作成するならどんなことを書いておきたいか尋ねたところ、最も多かった回答は「大切な人へのメッセージ」(67.3%)だった。次いで「資産(現金や株式、生命保険の一覧や分け方など)」(53.6%)、「延命治療(希望するか、など)」(45.1%)、「葬儀(遺影にして欲しい写真や葬儀で無駄だと思うことなど)」(40.9%)と続き、大切な人に思いを伝えたいと考えている人や残された家族が遺産のことで困らないようにしようと考えている人が多いことがわかった。

終活では、まず「身のまわりの整理」を!

「老後に"おひとりさま"になった場合、どのような終活をすることが大事だと思うか」

調査によると、およそ6割の人が、自分は将来"おひとりさま"(ずっと独身、あるいは家族との死別・離別で1人暮らしをしている人)になると感じているという。

そこで、老後に"おひとりさま"になった場合、どのような終活をすることが大事だと思うか尋ねたところ、最も多かったのは「身の回りの整理」で44.4%、次いで「後見人の指定(認知症になった場合の備え)」が37.7%で続いた。

「将来的にパートナーと一緒に行いたい終活」

では、パートナーがいる人はどうだろうか。パートナーがいる人(425名)に対し、将来的にパートナーと一緒に行いたい終活を聞いたところ、断トツで「生前整理(65.6%)」がトップとなった。

男女別にみると、「生前整理(身の回りの整理)」(男性56.4%、女性74.2%)や「訃報を伝えてほしい人のリストアップ」(男性17.2%、女性34.8%)、「葬儀プランの作成」(男性17.2%、女性32.6%)など多くの項目で女性のほうが高くなり、男性より女性のほうが、夫婦そろっての終活に積極的な様子がうかがえた。

約7割が、親やパートナーの"遺贈意向"に賛同

「将来大きな資産を保有していた場合、社会の役に立てるために遺贈したいと思うか」

続いて、「遺贈」(遺産を遺言に基づいて特定の個人や団体に譲り渡すこと)に関する意識について調査を実施。まず、将来大きな資産を保有していた場合、社会の役に立てるために遺贈したいと思うか聞いたところ、67.0%が「遺贈に前向き」であることが判明。年代別にみると、その割合が最も高かったのは10代で、76.5%にのぼった。

また、2014年の同調査結果と比較すると、遺贈に前向きな人の割合は6.4ポイント上昇しており、遺贈に対する関心度が年々高まっていることが読み取れた。

「遺贈するとしたら、役に立ててほしいこと」

では、遺贈に前向きな人は、何に役立てて欲しいと思っているのだろうか。遺贈に前向きな人(670名)に、どのような分野の役に立てるために遺贈をしたいと思うか聞いたところ、「人道支援(飢餓、病気、貧困に苦しんでいる人びとへの医療・食糧支援など)に」が最も多く50.6%。次いで、「災害復旧支援に」(30.7%)、「教育・子育て・少子化対策に」(24.5%)、「医療技術の発展に」(23.1%)と続いた。

「もし、自身の親やパートナーが遺贈を希望したら、賛同するか、しないか」

最後に、もし、自身の親が遺贈することを希望したら、賛同するか、しないか聞いたところ、70.5%が「賛同する(27.9%)」「どちらかといえば賛同する(42.6%)」と回答。また、パートナーが遺贈することを希望した場合についても答えてもらった結果、69.3%が「賛同する(計)」意向を示し、親やパートナーの遺贈意向を尊重したいと考えている人が多いことがわかった。