子供を持つ親なら誰でも我が子の将来にはあれこれ夢があるもの。最近では幼児期の早期教育が脳にいいとか、スポーツなどでプロやオリンピックを目指すには、早いうちから英才教育をした方が有利などの説もあり、子供の習い事に力を入れる家庭が増えています。

子どもの習い事はどうお金をかけるべき?

本格的に何かをやるということではなくても、習い事の1つや2つ通わせているのが普通の昨今、習い事費用はいったいどの程度まで出していいの? との悩みもよく聞きます。家計に重くのしかかる子供の費用の中で、今回は習い事のお金に焦点を当ててみます。

教育費に占める子供の習い事費用はどれくらい?

習い事を始める人が多いのが幼児期~小学校低学年。スイミングやピアノ、英会話などから始める人が多いようです。また、サッカーや野球、テニス、バレエなどスポーツも最近は人気が高いようです。

ケイコとマナブnet の調査によると、子供の習い事の数は1つだけという家庭が44%と最も多く、2つ(34%)という家庭と併せて約8割の家庭で1~2つの習い事をさせています。かかるお金は月に1万円未満が38%。1万円~2万円未満が28%となっています。

実際、幼児期や小学校低学年の年齢の子供が通うスイミングや英会話、ピアノ教室の多くは、5,000~8,000円程度の月謝が設定されていることが多く、習い事を1つ通うだけなら月々の負担は1万円以内に収まるでしょう。

子供の年齢が低い時期は、時間的な余裕もあるので、最近では運動系の習い事と英会話など掛け持ちで習い事をしている子供も多く見られます。

この時期は、教育費がそれほどかからない時期なので、家計もまだ余裕があります。習い事にお金をかけても負担感はそれほど大きくなりませんが、それをいいことにあれこれ無計画に手を出していると将来必要なお金が足りなくなるので注意が必要です。

月謝以外の費用も考慮して検討しよう

習い事の中には毎月の月謝だけで済むものと、そうでないものがあるので、その支出も含めてお金の準備をしなければなりません。

例えばスイミングの場合には、水着やゴーグルなど最初に準備をしてしまえば、あとはそれほど必要ないので費用の心配は余りありません。英会話も教材費が別途かかるケースを除いて、月謝の範囲で大体済みます。

それに対して、ピアノやバイオリンなどは楽器の購入費など月謝以外にもある程度の負担が必要になります。バレエなどの習い事もそうですが、発表会などがある場合には、別途参加のための費用が必要なケースも多いです。それらの費用がいくらかかるのか、あらかじめ確認した上で始めないと、家計を圧迫することにもなりかねないので注意が必要です。

また、本格的なアスリートを目指す場合には、習い事とは全く別次元の費用がかかります。水泳やテニス、野球、サッカー、フィギュアスケートなどプロやオリンピック選手を目指して取り組む場合には、ダブルスクールに通うつもりで家計支出を見直さなければなりません。

そこまで考えている家庭は少数派だと思いますが、複数の習い事をしていると子供が成長するにつれてその負担はどんどん重くなっていきますので、小学校の高学年になるころまでにある程度絞り込むことも必要です。

家計における習い事費用はどう考えるのが正解?

子供が小さい時期は可能性を広げるためにいろいろな習い事をさせてあげるという考えも当然ありです。その場合は、何歳までなど期限を区切って毎月出せる額を決めた上で、その範囲内でいろいろな習い事を体験させるといいでしょう。ただし、次々といろんな習い事に手を出すのは子供にとってもあまりいいとはいえないので、始めたら一定期間は続けるつもりで選択することが大事です。

1つのことを極めさせたいと思っているなら、なるべく早く子供の特性、好きなものを見つけてあげて、予算の範囲でよりよい環境を整えてあげるという方法がいいでしょう。

もちろん無理に習い事はさせず、親子の時間を大切にするという選択もあります。その場合には、習い事にかけられる費用を将来の教育費に回すなど、貯蓄計画を立てるといいでしょう。

いずれにしても、子供が小学校の高学年以降になると、勉強の方も本格的に取り組むこととなり、習い事の種類も運動や情操教育系から学習塾へと変わってきます。それに伴い、それまでの習い事を継続するか、続けるなら勉強とどう両立するのか悩みどころです。

家計支出も塾や予備校に通う費用をメインに考えざるを得なくなるので、それ以外の習い事に回せるお金も限られてくるのが普通です。

子供が中高と進学するにつれ学校教育費の負担も増えていきますので、将来の教育費準備のための積み立ても含め家計から学校教育に出すお金がいくらになるのか計算した上で、学校外の費用の予算を立てましょう。その範囲内で塾や習い事の費用の割合を子供と一緒に考えるといいでしょう。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。